試乗スケッチ

人の感覚に寄り添う“レクサス・チームメイト” 運転支援技術の進化に驚いた (2/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 恐怖心を抱くことのない自然な動き

 あらためて思い知らされるのは、レベル3なりレベル4という記号のためにハンズフリーや後方確認なしの先行車追い越しがはたして快適であるか、という認識である。恐る恐るの制御ではなく、後方確認しながらの運転支援の方がはるかに安心していられる。実際にアドバンスドドライブは、交通の流れを乱さない程度に素早く、力強く、普段僕らが日々こなすタイミングとリズムに近いテンポで車線変更をこなしてくれた。これは驚きだった。

 たとえばレーンキープでのクルーズコントロールを作動させながら、複数の車線がある道路を走行中、巨大なトラックを追い抜くとする。その時でさえ、車線内でわずかにトラックとの間隔を広げながら走行してくれるのだ。これまでのように、ただ無機質に車線の中央にこだわりながら走行された時の恐怖心がない。人間の感覚に寄り添ってくれることが好感触だった。

 クルーズコントロール中、合流する車両が確認されたとする。これまでだったら厳格に、先行車との間隔を維持しようとする。だが、アドバンスドドライブは、自然に合流しやすいように速度をやや緩め、間隔を確保しようとする。他の車両との優しい関係が得られるのだ。

 技術的なトピックは、「LiDAR」(ライダー)の採用であろう。これまでと同様のミリ波レーダーとカメラに加え、より正確に対象物の輪郭を細かくとらえることが可能なLiDARが組み込まれたことで、より緻密な認識が可能になった。だが、アドバンスドドライブの本質は、人間の感覚に寄り添う優しいプログラミングにあると思う。

 不安を抱えたまま、体を硬直させながらの高度運転支援技術ではなく、現実的な交通の流れに溶け込むかのようなアドバンスドドライブこそ、いま僕らが最も欲しい運転支援であることを突き付けられたような思いである。技術の進歩は大歓迎だが、レベル2だ、レベル3だと一喜一憂することが無粋のように感じさせられた。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】こちらからどうぞ。YouTubeの「木下隆之channel CARドロイド」も随時更新中です。

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