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入院率は大阪・兵庫・宮城でステージ4 新型コロナ新指標、多数が自宅療養か

 新型コロナウイルスに感染し療養中の患者のうち入院中の割合を示す「入院率」が、大阪、兵庫、宮城の3府県で、政府の対策分科会が示すステージ4(爆発的感染拡大)相当の25%以下だったことが、厚生労働省の公表データで分かった。3府県では入院が必要な患者の多くが病床の逼迫(ひっぱく)で入院できず、自宅や宿泊施設での療養を余儀なくされている可能性がある。

 入院率は16日公表のデータから新たに導入された指標。数値が低くなっていけば、感染拡大に伴い、入院できない人が増えていることの判断材料になる。

 入院率が最も深刻なのは大阪の14・1%で、自宅療養者は今月14日時点で5404人に上る。次いで宮城21・1%、兵庫22・4%。東京、千葉、京都、奈良、沖縄の5都府県も40%以下のステージ3(感染急増)相当だった。ただ、入院の必要な患者に対処している場合や、10万人当たりの療養者数が10人以下の場合はステージが適用されないため、愛知(19・8%)や神奈川(27・8%)などは除外された。

 病床の逼迫度合いは、全入院患者の使用率が大阪、兵庫、奈良、和歌山、徳島、沖縄の6府県でステージ4相当の50%以上だった。和歌山が前週の39・5%から64・3%に、徳島が前週の46・5%から66・0%にそれぞれ上昇し、ステージ4に加わった。

 20日から蔓延(まんえん)防止等重点措置が適用される埼玉、千葉、神奈川、愛知の4県や、前週にステージ4だった福島などはステージ3(20%以上)相当だった。

 従来の指標のうち、PCR検査の陽性率や人口10万人当たりの療養者数は基準が見直されたほか、新規感染者の前週比は参考扱いになった。大阪、兵庫は、入院率を加えた全ての指標でステージ4相当となった。

 「大阪、兵庫はいち早く緊急事態宣言を」東京医科大、濱田篤郎特任教授の話

 蔓延防止等重点措置が適用されている大阪、兵庫は、入院率を含む指標の全てがステージ4に達している。変異株の流行が原因とみられるが、もはや重点措置では効果がなく、政府はいち早く緊急事態宣言を発令すべきだ。沖縄も同様に重点措置が効いておらず、緊急事態宣言を発令する段階に達している。

 変異株は拡大のスピードが速く、早めに対策を取らないと医療が崩壊してしまう。特に大阪はベッドがほとんど余っておらず、手術も先延ばしされる状況で、周辺府県も協力して対応する必要がある。ただ、隣接する奈良、和歌山も数値が悪化しており、少なくとも重点措置を適用すべきだ。

 首都圏は東京だけでなく、20日から重点措置の対象となる埼玉、千葉、神奈川でも新規感染者が増えている。夜の飲食店が原因なのか感染経路不明の割合も深刻な状況だ。今後も増加傾向が続けば、緊急事態宣言も現実味を帯びてくる。

 また、徳島では飲食店や病院でクラスター(感染者集団)が相次ぎ、病床使用率が66%に達した。青森でも同様の状況がみられる。地方はクラスターが起きると一気に病床が逼迫してしまうので、注視しなければならない。(談)

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