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3度目の緊急事態宣言、短期集中で強化 大型施設や酒類提供店に休業要請へ

 新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う3度目の緊急事態宣言では具体的な対策の中身が焦点となり、人出を抑えるため、酒類を提供する飲食店や大型商業施設の休業要請などの政府方針が固まった。飲食店の営業時間短縮が中心だった前回の宣言や蔓延(まんえん)防止等重点措置では効果に限界があり、対策を大幅に強化。大型連休を念頭に17日間の短期集中的な発令となるが、効果の見極めも含め難しい判断が求められている。

 「変異株の猛威がより強く、これまで通りでは押さえ込めないだろうという認識のもとで、さまざま協議している」。22日に開かれたモニタリング会議後、東京都の小池百合子知事は宣言発令に伴う感染抑止対策の狙いを明らかにした。

 飲食店の時短営業だけでは不十分で、酒類提供を止め、大型商業施設の休業要請にも踏み切るのはこうした背景がある。同施設の感染リスクが高いわけではないが、政府内でも「人流を減らす。人出を誘発する施設は閉める必要がある」との思いは強い。

 政府の対策分科会メンバーで東邦大の舘田一博教授(感染症学)は「重点措置もあまり効果が得られなかった。アラート(警報)効果を出すためにも、広く自粛する方向性しかない」と指摘。酒類提供の自粛も「飲酒は感染リスクを高める」と理解を示す。

 東京都と大阪府では休業要請の範囲などが異なったが、政府は対象地域で一律にした。関西圏は大阪、京都、兵庫の3府県が対象になるのに対し、首都圏は東京都のみと対応が分かれる。だが、重点措置対象地域の埼玉、千葉、神奈川の3県も酒類提供自粛を要請できるようにする制度改正を政府に要望するなど足並みをそろえたい考えだ。

 舘田氏は「本来は生活圏を共有する地域一帯に発令すべきだが、首都圏3県は重点措置が適用されたばかりでもある。東京都に強い対策が出れば周辺にも影響が及び、一体的に感染が収まっていく可能性がある」と話す。

 発令期間は、経済への配慮から「きつい措置をごく短期間に」という考えがあった一方、「2週間では効果が見えない」との意見がせめぎ合ったといい、複数の候補を検討した。

 起点については「やるなら早い方がいい」(政府関係者)との共通認識があり、手続き上最短の25日に決定。終点は大型連休明けの5月9日や、東京都などで重点措置が終わる同11日、3週間程度の期間を設けた同16日の3パターンから同11日に落ち着いた。

 解除の判断も難しい。舘田氏は「宣言にどの程度反応があり、効果が見えるのか。東京都では新規感染者が300人を切った程度では延期せざるを得ず、100人が解除の目安になる」との見方を示す。

 その上で、医療の逼迫(ひっぱく)度合いが感染増加に遅れて悪化し、感染減少から改善までタイムラグがあることを踏まえ、「一度逼迫したら、しばらくは改善しない。すでに早いとはいえないが、今のうちに抑えないといけない」と強調した。(伊藤真呂武、三宅陽子)

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