書評

『鳥獣戯画のヒミツ』宮川禎一・著 舞台は「月」?新鮮な読み解き

 京都・高山寺に伝わった国宝「鳥獣人物戯画絵巻」-いわゆる鳥獣戯画全4巻のうち甲巻といえば相撲をとるカエルとウサギなど、いきいきとした筆遣いによる愛嬌(あいきょう)たっぷりの動物たちが思い浮かぶ。

 漫画やアニメのルーツともいわれる絵巻だが、何のために描かれたのか、どんな意味があるのかは謎だった。

 東アジアの考古学を専門とする著者ならではの解釈が、新鮮で面白い。「月が舞台」「『大唐西域記』にヒントあり」「明恵(みょうえ)上人の真意」という3つの観点から、絵巻に込められた明恵上人の仏教へのあつい信仰心などを読み解いてゆく。(淡交社、1870円)

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