試乗スケッチ

新生ホンダの救世主「ホンダe」 伝統の「M・M思想」とスポーツ魂を継承 (1/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 ホンダの執行部体制が変わった。これまで6年間、ホンダの代表取締役を務めてきた八郷隆弘社長に代わり、それまで専務取締役だった三部敏宏氏が就任したのである。

 社長就任会見は4月23日、そこでのスピーチに気になるモデルの名が口に出た。世界的なカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出実質ゼロ)の潮流の中、ホンダは2040年までにすべてのモデルを電動化すると発表。その象徴が「ホンダe」だというのだ。

 ホンダは盲目的にEV(電気自動車)化が是だとはしていない。トヨタがそうであるように、水素燃料電池車をもラインナップに揃える。ただ驚いたのは、ハイブリッドの「e:HEV」(イーエイチ イー ブイ)を主力モデルとして展開しているのに、2040年までの電動化構想にハイブリッドは含まれないとしたのだ。そして社長就任会見で口にした、期待のモデルの名はホンダeだった。カーボンニュートラルの救世主として、あるいは電動化の急先鋒としてホンダeをイメージリーダーとして育てるという証である。そしてその期待の高さが今回の試乗で感じ取れたのである。

 ホンダeは定格出力60kWのEVである。電気モーターをリアに搭載、後輪を駆動するという特異な駆動レイアウトを採用した。ボディはホンダコンパクトのトレンドに則ったキュートなもので、全長を4m以下に抑えた都会型コミューターである。

 一般的なEVがそうするように、内燃機関のガソリンモデルを、あるいはハイブリッドモデルの骨格を流用してEVモデルを成立させる手法は珍しくはないが、ホンダとしては珍しく後輪駆動を採用したところから想像するに、おそらく多額の開発費が投じられたに違いない。これからのホンダを支えるモデルとして新社長が期待するのも無理はない。

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