ヘルスケア

「これは災害」大阪の中等症病院に危機感 患者コロナ重症化も転院先なく

 新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがきかない大阪府で、重症病床が逼迫(ひっぱく)している。全国初のコロナ専門病院として中等症患者に対応してきた大阪市立十三市民病院(同市淀川区)では、症状が悪化しても転院先が見つからない患者の治療も続けている。西口幸雄院長は「用意する病床を上回るスピードで感染が拡大している」と危機感を募らせている。(小泉一敏)

 同病院はもともと、内科や外科など18診療科の総合病院だった。緊急事態宣言下の昨年5月1日から「地域医療の最後のとりで」(松井一郎市長)として、コロナ専門病院として稼働。一般外来も再開しながら、約1050人(今月23日現在)を受け入れてきた。

 マンパワー不足もあり、病床は70床だが現在は約60人への対応が精いっぱい。重症化すれば最も重症な人から順に重症病床に転送していたが、今は一度に数人が重症化するため、(転送すべき人を)常に4、5人抱えている状態という。

 重症病床への転送率は3月は約7・5%だったが、現在は約20%まで上昇。重症病床に空きがないため、同病院で治療を継続するケースが増えている。

 大阪では重症病床の逼迫が深刻だ。府は当初、必要な重症病床数を224床と算出して体制を整備。3月中旬以降に重症者数が急増し始めたため、計画を上回る病床を確保してきたが、使用率は100%に迫る。24日時点では、重症病床(287床)に対し重症患者は282人で、98・3%。転院できず、軽症・中等症病床で治療する重症者は65人となっている。

 「ウイルスの悪性度が増したのかもしれない」。そう話す西口院長は、変異株の影響を実感している。患者の年齢層や病状が変化しているからだ。3月から4月初旬までは患者の半数を10~20代が占めていたが、徐々に中高年が目立つようになり、最近は70代以上が半数を超えている。重症化する場合、入院から5日ほどのケースもあり、約1週間だった従来と比べて早くなっているという。

 西口院長は「患者が重症化して行き先(転院先)がなければ、中等症病院でも必死で対応するしかない」とする一方、「集中治療に慣れていないこともあり患者を助けられるか分からない。本来は重症病院で治療するのが患者にとっていいことだ」と話した。

 府はコロナの重症患者を受け入れている府内の医療機関に対し、急ぎではない入院や手術を延期して、病床を確保するよう緊急要請した。西口院長は苦しい胸の内を吐露した。「目の前のコロナ患者を何とかしないといけない。これは災害だ」

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