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「自粛を」「息抜き」 路上飲み、行政側と若者らせめぎ合い 

 新型コロナウイルス禍で増えた「路上飲み」。緊急事態宣言が発令されるなかでゴールデンウイークに突入し、多くの自治体はさらなる増加を警戒している。見回りなど対策に乗り出しているが、あくまで呼びかけで、結局はモラルに委ねられているのが現状だ。飲食店で飲めず路上に「息抜き」を求める人たちと、「公園や路上での集団飲酒の自粛」を要請する行政側のせめぎ合いが続いている。(鈴木文也、宇山友明)

 「飲酒は控えるようお願いします」

 27日午後6時ごろ。カップルらが等間隔で座る風景で知られる京都市中心部の鴨川河川敷で、「見回り隊」の府市職員や警察官の計9人が声をかけながらチラシを配りはじめた。

 四条大橋-三条大橋間の約800メートルは、主に20~30代の30組ほどが座り、缶ビールを手にマスクを外したまま語り合うグループも。「見回り隊」に反応し、立ち去る人もいれば、不満を表す人もいる。

 「反感を買うのは分かっているが、屋外で換気は問題にならないので安心」と語るのは、京都市内の女性会社員(24)だ。知人ら約20人で日中から飲酒・飲食をしており、見回り隊から注意を受けたものの、「日が暮れるまで飲むつもり」と言う。

 見回り活動終了後の午後8時以降、河川敷の人はさらに増加。友人2人と飲酒していた大学生(21)は見回りについて理解を示しつつ、「他の人と十分距離をとるように気を付けているのにここまで制限されるのは納得できない」と話した。

 見回りをした府の浅野浩司危機管理総務課長(56)は「感染を抑えるために、一人一人が行動を見直す必要があり、理解してほしい」と呼びかける。

 昨年来増えている路上飲みだが、今回の宣言では、路上や公園などでの集団飲酒も自粛の対象と位置付けられた。京都市は26日からの見回りのほか、市管理の公園923カ所で飲酒・飲食を禁じる看板を掲示。大阪府や兵庫県も、同様に対策を講じる。

 ただ、特措法に基づく命令ではなく呼びかけにとどまっており、路上飲みは後を絶たない。「飲食店での飲食が制限されている中、路上飲みが唯一の娯楽であり、息抜き」。26日午後8時過ぎ、大阪市中央区のオフィス街の路上で飲酒する男性2人組は明かした。

 2人は近くの会社に勤務する同僚。昨年末から週2回程度、路上飲みを続けており、男性の1人は表情を曇らせた。「今は人目をはばかりながらでないと路上で飲めない雰囲気になってきていて残念だ」

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