ヘルスケア

長引く「コロナ後遺症」に懸念 元の体調に戻らず…精神面含めケア必要

 長期化する新型コロナウイルス感染症の流行で、体調がなかなか元に戻らない「コロナ後遺症」の増加が懸念されている。疲れやすい、息切れがする、体が痛いなど症状はさまざま。入院した重症患者だけでなく、自宅やホテルで療養した軽症の人にもみられる。炎症反応で肺や心臓などに障害が起きるのが原因の一つとみられるが、それ以外にも複数の要因が関わっているらしい。専門家は「精神面を含めた患者の総合的なサポートが必要だ」と指摘する。

 人により異なる症状

 コロナ後遺症は症状が長引くため「ロングCOVID」とも呼ばれる。米国立衛生研究所(NIH)は、急性期治療の後に残る幅広い症状を指す「PASC」という用語を提唱する。

 症状は人によって異なる。高齢者に限らず若い人にもみられ、重症度と関係しない場合がある。多いのが疲労や息切れ、せき、関節や胸の痛みなど。集中力や思考力が落ちる「ブレーンフォグ(脳の霧)」と呼ばれる状態も起きる。

 食べ物や飲み物の味やにおいがしなくなる、異様なにおいに変わるなど味覚・嗅覚障害も多く報告される。発疹や脱毛などの皮膚症状もある。うつや不安、睡眠障害などの精神症状も起きる。

 感染から3カ月後も症状が続く場合があり、半年以上残る人もいる。

 新型コロナウイルスは全身の細胞に感染して「サイトカインストーム」という過剰な炎症を起こす。これによって肺や心臓、脳の血管や組織が傷つき、慢性的な障害が残るというのが考えられる病態の一つだ。

 ただ、臓器を検査しても原因となる異常が見つからない場合もある。このため英国立衛生研究所(NIHR)は「病態はただ一つではなく、複数の要因が背景にあるのではないか」と指摘する。

 肺や心臓への慢性障害の他に考えられるのが「ウイルス感染後疲労症候群」だ。コロナに限らず、さまざまな感染症で起きる。強い疲労や脱力が続き、日常生活が困難になる人もいる。光や音などの刺激に過敏になることもある。いわゆる慢性疲労症候群の原因の一つとも考えられている。

 また、コロナの症状が消えずに持続するケースも考えられる。熱が続いたり味覚障害が治らずに長引いたりする。

 コロナの直接の影響ではないが、重症例では「集中治療後症候群」もありうる。鎮痛薬や筋弛緩(しかん)剤の投薬、血圧低下や酸素供給不足などが心身状態の悪化につながる。

 感染自体が心の重荷

 つかみどころのない症状を抱えた患者の不安は大きい。岡山大病院は2月、総合内科・総合診療科に「コロナ・アフターケア外来」を開設した。担当する大塚文男副院長は「コロナ後遺症の症状には身体的な要因に加えて心理的・精神的な要因も含まれている」と話す。

 体調悪化に加えて感染そのものが心の重荷になる。消えない症状に悩まされてストレスが高まり、仕事を続けられなくなって心の健康を損ねる。「人の健康は微妙なバランスで成り立っている。コロナで不調が表面化する人もいるのではないか」と大塚さんはみる。

 不調の原因が分からないケースも多い。倦怠(けんたい)感が続く人には漢方薬の処方も一つの方法だ。同外来では精神科とも連携しているが、患者が増えれば医師や看護師、臨床心理士などチームによるカウンセリング体制を整える必要がある。

 大塚さんは「患者に向き合って話を聞くことで気持ちを和らげることができる。少しでも症状を改善する糸口を見つけたい」と話す。

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