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国がヤングケアラーを支援 相談窓口拡充、5月中に提示

 病気や障害のある家族の介護や世話をする「ヤングケアラー」を支援する動きが加速している。孤立化や学習遅れなどにつながる恐れがあり、元当事者らは専門職員による相談体制などの必要性を提言。一部自治体が支援計画の策定などで先行しており、国も5月中に相談窓口の拡充など具体的な支援策を示す。

 ヤングケアラーは厚生労働省と文部科学省による初の実態調査で、中学生の5・7%(約17人に1人)、高校生の4・1%(約24人に1人)に上ることが判明。当事者の6割超が誰にも相談したことがなく、これまで表面化しづらかった。

 両省のプロジェクトチーム(PT)による元当事者らへの聞き取りでは、「介護や世話をしている自覚がない」「悩みを言語化できない」「研修を受けた専門家が相談に乗れる仕組みが必要」との声が寄せられた。授業などで病気や障害について理解を深める機会の必要性も指摘された。

 埼玉県は昨年3月、全国に先駆けて「ケアラー支援条例」を施行。今年3月には、3年間で約1000人がヤングケアラー支援のための教育・福祉合同研修を受講することなどの目標値を盛り込んだ支援計画を策定した。神戸市は4月に全国初のヤングケアラー専門部署を立ち上げ、6月から社会福祉士3人が専属で相談を受ける。

 PTは今月中に報告書をまとめ、自治体の相談窓口拡充や居場所作りを支援するが、「子供自身がアクセスしやすいか」(厚労省)も課題になりそうだ。

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 ■ヤングケアラー 「YOUNG(若い)」と「CARER(世話する人)」を組み合わせ、英国で生まれた言葉とされる。日本ケアラー連盟などによると、大人が担うような家事や病気や障害がある家族の介護を日常的に行っている18歳未満の子供を指す。自由な時間が取れず、学業や進路に影響を及ぼすだけでなく、健全な発育や人間関係の構築を阻むとされている。

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