教育・子育て

大学評価広がるか 立命館アジア太平洋大が「QS」4スター獲得

 イギリスの大学評価機関「クアクアレリ・シモンズ」(QS)が実施し、60カ国600以上の大学が利用する大学評価サービス「QSスターズ」で3月、立命館アジア太平洋大(APU、大分県別府市)が4スター(最高位5スタープラス)を獲得した。国内では平成30年に立命館大が4スターを獲得し、2例目。さらに国内の複数の大学が評価を受ける準備を進めているといい、日本の大学に広がれば、受験生の大学選びに役立ちそうだ。(加納裕子)

 「世界的に知名度が高く、信用されているQSスターズで高い評価を得た。学生募集や卒業した学生の進路選択が広がるのではないか」。APU学長室の村上健(たけし)室長は4スター獲得を受けて声を弾ませた。

 APUは12年4月、学校法人立命館が地元自治体と協力して設立。アジア太平洋学部、国際経営学部などにアジアを中心に95の国・地域から学生が集まり、今年度在籍している学生の約46%が留学生だ。教員も約半数が外国籍で、国際色豊かなキャンパスを特色とする。

 「QSスターズ」は教育や国際化、研究など8分野で大学を絶対評価し、総合評価を最高位の5スタープラスまで6段階で評定する仕組み。大学ランキングでは上位になりにくい小規模大学や単科大学が、それぞれの強みを世界中の受験生にアピールできる指標として広く利用されている。

 APUは総合評価で4スターを獲得したほか、就業能力▽国際化▽施設-などの個別評価で5スターを獲得。就業能力では、留学生を含む卒業生約2万人が約150カ国で働き、国連機関や米巨大IT企業で活躍する人材も輩出してきた実績が評価されたという。

 現在は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で留学生の入国は厳しく制限され、自国でオンライン授業を受ける留学生も少なくない。村上室長は「例年は世界中に出張して学生を募集するが、この1年はそれもかなわず、厳しい状況」としつつ「コロナ禍はいつか終わる。客観的な信頼できる指標でアピールしていきたい」と話した。

 QSと提携して国内大学の評価を進める河合塾グループの「KEI(ケーイーアイ)アドバンス」によると、近年、大学が国際的な評価を求める動きが活発化し、国内の複数の大学がQSスターズの評価を受ける準備を進めている。同社の担当者は「国内の受験生にも、偏差値だけではなく国際的な評価という新たな大学選びの指標を提供できる」と話している。

 【キーワード】大学の国際評価 各大学が評価機関に申請し、審査を受けて取得する。「QSスターズ」のほか、マネジメント教育分野における米国の「AACSB」、英国の「AMBA」などがある。一方、QSや英教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」が発表する「世界大学ランキング」は大学からの申請によらず、評価機関が独自に作成し、発表している。

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