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国立美術館・博物館に東京都が休館継続を要請 政府と食い違い

 緊急事態宣言により臨時休館している東京都内の国立美術館や国立博物館の12日以降の運営をめぐり、国と都の方針に食い違いが生じている。営業時間を短縮した上で再開する考えの文化庁に対し、都は10日夜に休館の継続を要請。国と都は11日に協議を行い、最終的な対応を決める。

 文化庁を所管する萩生田光一文部科学相は11日の閣議後記者会見で「閉めることでより(感染防止)効果が上がると判断すれば理解したい」と述べ、閉館を延長する可能性を示唆した。

 緊急事態宣言の延長に伴い、1千平方メートルを超える博物館や美術館について、政府は午後8時までの営業時間の短縮を要請。一方、都は7日に定めた緊急事態措置で、これらの施設に引き続き休館を求めている。

 都は10日に文化庁に送った書面で「新規感染者や重症者の数が引き続き高い水準にあり、感染力が強い変異株の影響も大変危惧される」と理由を説明した。

 さらに書面では「内閣官房と協議の上、決定した」として、文化庁に対しても説明や要請を繰り返してきたと強調。これに対し、萩生田氏は「事務方が電話で問い合わせをして、返事が来ない状況が10日夜まで続いていた」と苦言を呈し、双方の認識の違いが目立った。萩生田氏は「感染拡大に最大限配慮し、開けられるところは開けていこうというのが基本姿勢だ」とも述べた。

 菅義偉(すが・よしひで)首相と萩生田氏、加藤勝信官房長官は11日朝、官邸で協議し、都と施設を管理する文化庁の調整状況などを確認。政府高官は「両者はささくれだった関係になっている」と語った。

 加藤長官はこの日の記者会見で、「文部科学省と都の間で調整がなされている最中だ。国立文化施設は独立行政法人であり、それぞれが独立して経営がなされている。都が民間施設と同様に話していく」と述べるにとどめた。

 12日に再開される予定なのは、東京国立近代美術館、国立新美術館、国立映画アーカイブ、東京国立博物館、国立科学博物館の5施設。

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