新時代のマネー戦略

「老後資金を貯めるなんてムリ!」と諦めるのは早い 起死回生の裏ワザがあった (1/2ページ)

長尾義弘
長尾義弘
  • 「老後資金を貯めるのはムリ!」

 実際の家計を直視すると40代・50代の方はこんな風に叫びたくなってしまいますね! これは、人生の三大支出が同時期に折り重なるように襲ってきているからです。

 さて、「人生の三大支出」というのをご存じでしょうか。三大支出とは「住宅資金」「教育資金」「老後資金」です。

 この三大支出というのが、一時期に固まってくるとんでもない状態になってしまいます。たとえ共働きの家庭で、少し家計に余裕があったとしても、この3つ支出を同時に対処するのはかなり厳しいと思います。最近、この傾向がとても増加しているのです。なぜ三大支出が同時に重なることが、増加しているのかというと、晩婚化の影響があるからです。

 「えっ?」と思うかも知れませんが、「晩婚化」と「三大支出の同時期化」の関係をこれから説明します。

以前は三大支出のダブる時期は少なかった

 以前は、結婚・出産というのが20代というのが一般に多いパターンでした。その時は「住宅資金」「教育資金」「老後資金」と大きな支出が順番に流れていって、何とか乗り越えることができました。支出がダブったとしても、短い期間で終わることができたのです。また、高度成長もあり、賃金が上昇していったと言うことも大きな要因でもあります。

 これまでの三大支出の流れをみてみましょう。たとえば30代で住宅を購入するとします。30年間のローンを組むと60歳には完済されます。

 教育資金がもっともかかるのが、子どもが大学生になるころです。そのころは40歳後半になります。収入ももっとも多くなる時期でもあります。子どもが大学を卒業して、独立をすると家計がグッと楽になってきます。これが50代前半です。ここから老後資金の準備が始まり、60歳のときに定年退職になれば、それまで貯めた資金と退職金を合わせて、何とか老後資金にするというのが、以前の三大支出を乗り切るロールモデルだったのです。

晩婚化が招いた「三大支出の同時化」?

 ところが、現在は晩婚化が進んでいます。国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」によると、1992年は、平均初婚年齢は夫が28.3歳、妻が25.7歳でした。2015年の調査では、夫が30.7歳、妻が29.1歳となっています。

 厚生労働省の「人口動態統計」によると、1985年における第一子の母親の出産年齢は26.7歳でしたが、2019年は30.7歳になっています。これらのデータでも、晩婚化で、晩産化が進んでいることがわかります。

 初婚の年齢が20代後半にずれ込むと、出産は30歳の前半になります。すると住宅購入も40代前半になり住宅ローンが70歳近くまでずれ込んでしまいます。年金暮らしになってから住宅ローンが残っていると、老後生活がかなり苦しくなるというのはよく言われることでもあります。

 また出産が30代前半になると、子どもの大学入学の時期が50代になってきます。しかしこの50代半ばには、収入のピークが過ぎて、むしろ役職定年などで減少に転じます。収入が減少するときに教育資金のピークを向かえることになるとさらに家計は厳しくなります。しかも住宅ローンは、まだ半分も残っている時期です。

この状態で、老後資金の準備をするというのは、ほとんど「ムリ!」と悲鳴を上げてしまうのは仕方がないことです。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus