試乗スケッチ

二つの表情を見せる新型「ヴェゼル」 さらに磨きがかかったホンダの“屋台骨” (2/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 保守的でありながら革新的

 走りも上質だ。重量のかさむバッテリーを床下に搭載しており、それが重厚感のある走り味に結びついている。それでいて乗り心地は優しい。サスペンションが弱められているのだ。にも関わらず不快なロールはない。ややペースを上げてアップテンポなリズムでワインディングを駆け抜けても、いや、速度を上げれば上げるほどフットワークが軽くなる印象なのだ。

 3段階のドライブモードをスポーツに設定すれば、走りの高揚感はさらに増す。アクセル開度に対するパワーゲインが高められるから、さらに高い躍動感が得られるのだ。しかもミッションをDからBレージにシフストすれば、アクセルオフでの減速Gも高まる。

 ステアリング裏にはパドルが組み付けられており、さらに4段階の減速Gが選択できる。ほとんどワンペダル的な走りも楽しめるのである。峠道を飛ばして走りに興じるタイプのクルマではないが、ロングドライブでも不満はないだろう。 

 新型ヴェゼルは、ある意味で保守的であり、ある意味では革新的である。サイズは無闇に肥大化せず、使い近い勝手を維持している。それでいてプレミアム感覚が強調されている。オシャレ度と車格感が増している上に、走りの上質感にも磨きがかかっているのだ。これからもホンダの屋台骨でいるに違いない。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】こちらからどうぞ。YouTubeの「木下隆之channel CARドロイド」も随時更新中です。

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