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“神代”文献で筑波山麓の古代史分析 生活情報誌社長が書籍出版

 「古事記」「日本書紀」の原書ではないかと一部の愛好家をひきつける文献「ホツマツタヱ」について、茨城県民の視点から分析した書籍「日本のルーツ筑波山 異説筑波の神々物語」(プレステン)が出版された。作者の飯野道郎さん(70)は「茨城に住む人に郷土に誇りを持ってもらい、町おこしに役立てたい」と意気込む。

 ホツマツタヱは、漢字が日本に伝わる以前、縄文から弥生時代に至るまでの日本の国造りの歴史を記号のような固有の文字で記述したとされるもの。飯野さんはつくば市を中心に県南で発行されている生活情報誌「プレステン」の社長で、約2年前に歴史を研究する知人との会話でホツマツタヱの話題が出たことをきっかけに、筑波山麓と日本の神話や地名などについて研究を始めた。

 茨城や千葉を中心に関連する地域の郷土史や伝承、地名辞典などを買いあさり、読破した書籍は軽く100冊を超えるという。飯野さん自身、五所村(現在の筑西市)出身で、筑波山や周辺自治体の細かい地名になじみがあったのものめり込む理由の一つだった。

 ホツマツタヱを偽書と考える歴史家は多いが、飯野さんは「偽書とか本物ということでなく、1つの考えとして本をまとめた」と強調。その上で「ホツマツタヱでは、自分が生まれ育った筑波山周辺の地名がたくさん出てきて、重要視されている。この文献の究明が自分の責務だと思った」と使命感を語る。

 調べた内容は「いい・のみち」のペンネームでプレステンに掲載中だが、もっと広く県民に知ってほしいと加筆して、今回書籍にまとめて出版。同書は全10章で、筑波山が日本発足の地であることや、茨城や千葉など東国の地名が西日本の中国地方や九州にもある点に触れている。

 「ホツマツタヱには、かつて日本の中心は東北や関東などの東国で、そこから西へ文化が伝わっていったという、私たちが教科書で習った歴史と正反対の考え方がある。茨城の人にそんなロマンを感じて、自信を持ってほしい」と訴える飯野さん。「調べれば調べるほど筑波山周辺は魅力的な土地。あと2~3冊出さないと書き切れない」と今日も研究に余念がない。

 同書はA5判で288ページ、定価2500円(税込み)。県内の一部書店で購入できる。問い合わせはプレステン(029・838・2366)。(篠崎理)

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