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熱海で土石流…急な斜面、水吸う地質で悪条件重なる 「土石流危険渓流」とは

 大雨で多数の家屋が流された静岡県熱海市の現場周辺は、県が土石流の発生する恐れのある「土石流危険渓流」に指定していた。斜面が急で地質も水を含みやすく、大雨が降れば土石流が発生しやすい悪条件が重なっていたという。長時間降り続いた雨で地盤の緩んだ状況は当面、続くとみられ、気象庁は雨がやんだ後も警戒を呼びかけている。

 岩手大の井良沢(いらさわ)道也教授(砂防学)によると、土石流は崩れた土砂が周囲の土砂などを巻き込みながら、渓流沿いなどに流れ落ちることで発生する。今回の土石流は「もともと土砂災害が起きやすい地形や地質だった場所に、記録的な大雨が降ったのが原因で発生したのではないか」と分析する。

 井良沢教授によると、現場周辺の地質は箱根周辺の火山からの噴出物からできており、通常の地質よりも水分を通しやすく、雨が降るともろくなりやすい。また、周辺の山頂から住宅地が広がる海岸付近までの距離は2・5キロ程度しかなく、急な斜面が雨でもろくなると崩れやすくなるという。

 映像で今回の土石流を確認した井良沢教授は「(土石流が)泥っぽく、火山性の地質が影響しているとみられる」と指摘。「現場の山の上の方が崩れ、低い位置の土砂を巻き込みながら大きな土石流となったのではないか」とみる。

 国土交通省によると、現場周辺は土石流危険渓流のほか、土砂災害の発生しやすい「土砂災害警戒区域」にも指定されており、過去に現場付近で斜面が崩壊した跡が見られるという。

 気象庁によると、日本列島周辺の南側にある太平洋高気圧が張り出しを強めたため、列島の南方にあった梅雨前線が押し出されるように列島まで北上。前線に向かって南から暖かく湿った空気が大量に入り、静岡県を含む広い範囲で大雨が降ったという。

 今回、土石流が発生した熱海市伊豆山地区は斜面が東に面していることから、南側から押し寄せる暖かく湿った空気が斜面にぶつかりにくく、例年は雨量が少ない。一方、気象庁の担当者は「雨が少ない地域は緩い地盤が崩れずに残っていることが多い」と指摘。斜面が南向きで、雨量が普段から多い静岡県の西部地域と比べ「雨量が少なくても、少し雨が増えただけで土砂災害の危険が強まってしまう」と話した。

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