ヘルスケア

英、コロナ共生へ「賭け」 感染急増でも規制解除

 英政府がロンドンを含むイングランド地方で新型コロナウイルスの行動規制を19日にもほぼ撤廃すると決めた。感染対策の義務化から個人が自己責任で感染防止に努める方針に転換し、ウイルスと共生しながら社会・経済活動の再生を図る狙いだ。感染力が強いインド由来の変異株(デルタ株)の浸透で感染者が急増中なだけに、決断は「賭け」ともみられている。(ロンドン支局 板東和正)

 ジョンソン首相は5日、「国民が責任を持ってウイルスに対処することを(政府は)信頼すべきだ」と強調し、1月上旬から続いたイングランドのロックダウン(都市封鎖)に伴う行動規制の解除方針を発表した。12日に最終判断する。

 具体的には、公共交通機関・店舗でのマスク着用義務や他人との距離を確保するルールを撤廃し、バーやレストランでの人数制限などを解除。長期に渡って営業を禁止していたナイトクラブを再開し、在宅勤務の奨励も終了させる方針。

 英国ではデルタ株浸透の影響で、6月1日に約3千人だった1日当たりの新規感染者が今月7日には3万を超えた。ジャビド保健相は夏には約10万人に増加する可能性があるとの認識も示す。

 それでも規制解除を急ぐ背景には、インフルエンザと同様に新型コロナとの「共生」も目指さざるを得ないとの考えがある。ジャビド氏は英紙デーリー・メール(電子版)への寄稿で「新型コロナを完全に収束させることはできない」とした上で、長期間の規制による経済や国民の精神面への悪影響を懸念。「行動の自由を回復しながら、新型コロナと共存することが当面の課題だ」と強調した。

 ワクチン接種の普及が進み、感染者が増えている一方で、死者や重症者数を抑制できていることも、政府の判断を後押しする。

 政府は19日までに18歳以上の全成人がワクチンを1回以上、3分の2が2回目を済ませるのを目標とする。英当局によると、5日時点で、それぞれ接種率は86%と64%で、英メディアは順調な進展と伝える。

 英政府はワクチンを2回接種すれば、入院や重症化を防ぐ有効性が米ファイザー製で96%、英アストラゼネカ製で92%になると指摘。英紙フィナンシャル・タイムズの調べでは、新型コロナの致死率は昨年12月のワクチン接種開始前の0・8%から、0・1%に低下した。

 ただ、感染者数がさらに大幅に増えれば死者数が増加し、医療体制が逼迫(ひっぱく)する恐れなどは否めない。ワクチンに強い耐性を持つ新たな変異株が生まれる懸念もあり、「規制の撤廃はギャンブル」(英感染症の専門家)とみられている。

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