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宣言下五輪、都に焦り 小池百合子知事「いくつも急所はある」

 新型コロナウイルスへの対応をめぐり、蔓延(まんえん)防止等重点措置への移行からわずか3週間で緊急事態宣言の再発令となる東京都は、感染防止対策だけでなく、「無観客開催」が想定される東京五輪への準備にも追われる。都は飲食店や百貨店といった事業者への対応などと併せ、ワクチン接種の加速化で感染を抑え込みたい考えだが、国からのワクチン供給には懸念も残されている。

 「いくつも急所はある。何よりもワクチンを早く接種してほしい」

 小池百合子知事は8日、報道陣に今後の新型コロナ対策を問われ、こう強調した。五輪開幕を目前に控える中でも感染の収束が見通せず、焦りもにじむ。

 3回目の緊急事態宣言から蔓延防止等重点措置への移行が政府内で議論されていた6月中旬、小池氏は移行後の飲食店などへの要請に頭を悩ませていた。酒類の提供を認めれば感染再拡大につながり、五輪開催にも影響しかねないからだ。

 実際、同月12日には都内の新規感染者数が30日ぶりに前週の同じ曜日を上回り、再拡大の兆しが見え始めていた。5日後の都モニタリング会議では、専門家が「(今後)感染の再拡大の危険性が高い」と指摘し、人出の抑制と感染防止対策の徹底を求めた。

 飲食店対策に限界

 だが、酒類を提供する飲食店などへの休業要請を続ければ店側のダメージは膨らみ、都民の不満もくすぶり続けることになる。要請に応じない飲食店に客が流れ始めてもいた。

 都は同月21日の重点措置への移行後、都内ほぼ全域の飲食店などに対し、同一グループ2人以内、滞在時間90分以内などの条件付きで酒類の提供を認めた一方、小池氏は「感染状況などが悪化した場合にはただちに酒類提供の全面停止を要請する」と強い姿勢も見せた。

 今回、4回目の緊急事態宣言が発令されることになり、飲食店などには酒類の提供停止が再び要請される。狙いは街中や夜間の人出の抑制だが、3回目の緊急事態宣言下でも感染を抑えきることはできておらず、都幹部は「飲食店対策だけで感染を収束させるのは難しい」と話す。

 接種「弾がない…」

 小池氏が状況の流れを変える「ゲームチェンジャー」と位置付けるワクチン接種は、今や都にとって対策の「切り札」となっている。今月8日のモニタリング会議では、新規感染者のうちワクチン接種が進む65歳以上の高齢者の割合が、21・2%に上った3月22日と比べ、今月5日は5・5%まで下がったことが報告された。

 専門家は「若年層の感染者の割合が大きくなっているのは高齢者のワクチン接種が進んでいることの影響」と指摘し、接種の加速化を求める。だが、政府は6月23日に企業の職場などで行う接種と自治体の大規模接種について、確保量を上回る勢いで申請があったとして、新たな申請受け付けの休止を発表した。

 「弾がなくて、どうやって戦えというのかしら」

 小池氏は国の対応を周囲にこう皮肉った。都は今月中に大規模接種会場の約10カ所の開設を目指し、必要なワクチンが供給されるよう国との折衝を急ぐ。

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