鉄道業界インサイド

「密」を避けるには何号車? 東京メトロが車内の混雑状況をリアルタイム配信 (2/2ページ)

枝久保達也
枝久保達也

 過去の統計データから推測も

 それではカメラのない駅ではどうやって混雑率を把握しているのかというと、過去の統計データから、各駅で号車ごとにどの程度乗降があるか、パターンを推測することが可能なのだという。そのため、アプリは走行区間の混雑状況だけでなく、先の区間の混雑状況の予測も提供している。

 ただそうなると、カメラのない駅で数十人が特定の車両に突発的に乗車した場合には、混雑状況を正確に把握できないのではないかという疑問が生ずる。しかし東京メトロの担当者によると、そうした例外はほとんどなく、多くはパターンに沿った乗降が行われているそうだ。

 乗客の数が増減しても基本的なパターンは一定のため、パターンにデプスカメラで測定した混雑状況を掛け合わせることで、区間ごと、車両ごとの細かい混雑状況が算出できる。少なくとも、アプリが提供する4段階の混雑状況で示す分には十分な精度が得られるという。

 実は同じような考え方で混雑予測をしているのが東急電鉄だ。東急は2017年からナビタイムジャパンと連携し、各列車、各号車ごとの混雑状況を公開しているが、こちらもナビタイムジャパンの「電車混雑シミュレーション」技術に、車両別の荷重状況をもとにした乗車率データを組み合わせた予測に基づき、実際の混雑状況を測定することなく情報提供を行っている。

 東京メトロのシステムは、こうしたシミュレーションに加えて、デプスカメラの情報で補正をかけているというわけだ。

 ただ、ダイヤ乱れ時などはパターンに沿わない利用が増えるため、混雑状況が提供できないケースがあるという。このあたりは銀座線、丸ノ内線の運用状況を見ながら、今後の展開に反映していきたいとしている。

枝久保達也(えだくぼ・たつや)
枝久保達也(えだくぼ・たつや) 鉄道ライター
都市交通史研究家
1982年11月、上越新幹線より数日早く鉄道のまち大宮市に生まれるが、幼少期は鉄道には全く興味を示さなかった。2006年に東京メトロに入社し、広報・マーケティング・コミュニケーション業務を担当。2017年に独立して、現在は鉄道ライター・都市交通史研究家として活動している。専門は地下鉄を中心とした東京の都市交通の成り立ち。著書に「戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団」(青弓社)。

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