新時代のマネー戦略

不動産シェアって実際どうなの? 不動産小口投資の本当のうまみ (1/3ページ)

井上信一
井上信一

不動産もシェアする時代

 カーシェアリングやシェアハウスなどに代表されるシェアリングエコノミーが益々拡大しています。サービス内容も多様化し、「モノを持たず利用したい時だけ使う」ものから、「個々のスキルを相互活用する」、「空いた時間を他人に売る」といったものまで登場しています。

 解釈を広げれば、「自分だけではとても買えない高額の財産をシェアして持つ」という考え方も、シェアリングエコノミーのひとつでしょう。競走馬の一口馬主、養殖の一口権利等は以前からありましたが、最近では絵画等の美術品やワインの元となる葡萄の木をシェアするサービスも登場しています。とかく趣味的色あいの濃いものが多い中、純粋に資産形成目的を叶える手段として、「不動産の一口オーナーになる」という選択肢も、いま増えています。

不動産小口化商品とは何か?

 株式や債券等の金融商品(有価証券)ほどではありませんが、不動産も投資対象として依然人気があります。

 不動産は有価証券ほど価格が日々激しく値動きするわけではなく、売却益を狙う目的もありはしますが、賃料収入という比較的安定した不労収入を得る目的で考える方がほとんどと思われます。しかし、大抵の投資対象は数千万円規模のマンション・アパートの一室等であり、マンションやオフィスビルに一棟まるごと投資するなんて個人では中々難しいものです。このような不動産のオーナーになるための方法として注目を集めるのが不動産小口化商品です。

 例えば、10億円するマンション一棟でも100人で共同出資すれば、一人あたり1,000万円の投資で足ります。この物件の年間賃料が5,000万円とすると、共同出資者100人で案分した一人あたり取り分は50万円となります。

 不動産小口化商品も単純に考えるとこうしたしくみですが、実際に不動産を所有する際には物件の維持や管理等の手間や諸費用がかかるほか、何より立地や利便性等の個別条件で価値が大きく異なる不動産は、どの物件に投資するのかという選択眼が非常に重要となります。

 不動産小口化商品とは、不動産会社や不動産運用会社等のプロの事業者が選別した物件を小口化し広くオーナーを募るしくみですが、物件の維持管理等の手間も事業者が行ってくれるので、投資家は賃料等の収益から事業者へ支払う報酬や手数料を差し引いた残りを、所有割合に応じて分配金として受け取ることになります。

 昨今では、商品やサービスを規定する法律の規制緩和により事業者が参入しやすくなったほか、インターネット等で手軽にモノやプロジェクト等に出資するクラウドファンディングが身近になったことも手伝い、商品数が飛躍的に増えています。

不動産小口化商品のメリット

 不動産のプロの目利きによる物件を維持管理の手間なく所有できる点は述べましたが、他にも不動産小口化商品のメリットとしては以下も考えられます。

  • 個人では投資するのが難しい高額不動産のオーナーになれる
  • 個人では投資するのが難しい事業用不動産のオーナーになれる
  • 不動産投資におけるリスクを分散できる
  • 税制面でのメリットを享受できる

▼不動産投資の利回り、2つの視点

 まず、不動産投資においては利回りが重要な判断材料となりますが、これには「高利回り物件」と「中~低利回りだけど安定した物件」という、2つの視点があります。

 高利回り物件は、例えば中古物件や格安物件を購入し一定の賃料を得ることで達成できますが、ただでさえ人口減や今後は世帯数減が予想されるなか、特に居住用物件(レジデンシャル)に対する物件選びの選択眼がより厳しく求められます。

 一方の中~低利回りだけど安定した物件は、例えば人気の高い街のレジデンシャルや、都心一等地(東京都内でいえば 千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区等)に所在のレジデンシャルやオフィスビル等が該当します。こうした物件は高額なため相対的に利回りは低くなりがちですが、景気や地価等の変動を受けづらく、常に一定のニーズがあるので安定した利回りを期待できます。

 不動産投資では規模の効率化も働くため一室よりは建物一棟が費用面でも効率よく、レア物件よりは誰もが認める付加価値の高い物件に投資するのが安定します。こうした希少かつ高額な物件でも、小口化された商品に投資することでその恩恵を受けられることはメリットといえます。

 また、商品によっては、保育園や病院等の施設、各種レジャー施設やホテル、さらには観光やレジャー施設の建築を目的とする事業用地等が小口化し販売されることもあります。こうした事例では不動産を活用した事業へ出資するという側面が強くなりますが、個人が手を出すことは難しいものでも購入できる点は、不動産小口化商品ならではでしょう。

▼一口あたり数万円から購入可能な商品も

 さらに、不動産小口化商品は、商品にもよりますが一口あたり数万円から数百万円単位の少額で購入できます。

 マンション一室を現物不動産として持つのと比べ、同じ投資額でも複数の不動産に分けて所有できるので、空室リスクや災害等に遭うといった投資リスクを分散することが期待できます。

 ただし、不動産小口化商品は金融機関融資(ファイナンス)が利用できないため、全額自己資金(フルエクイティ)で購入しなければなりません。このため、現物不動産のように融資を最大限活用して少ない自己資金でレバレッジを効かすような投資を行うことができない点に留意する必要はあります。

▼相続税対策にもなる

 最後に税制面として、とくに相続対策として効果を発揮する点が注目されています。ちなみに、相続税や贈与税の課税対象となる財産は、その種類に応じて所定の評価方法で算出する決まりなのですが、有価証券を含む金融商品や現預金は時価で評価するのに対し、不動産は総じて時価より低い評価方法で算出できます。つまり、現預金や有価証券から不動産に資産替えすれば評価額を減らせるため相続対策にはよく不動産が活用されています。

 不動産は分割・換金するのが難しい点がネックなのですが、不動産小口化商品を複数口所有していれば、各相続人に分割して渡すことが可能となります。

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