メルセデスとの共有化がいっそう色濃く
だが、そんなマイバッハもパーソナル化に方針を変えつつある。独立していたマイバッハブランドが、いつしか「メルセデス・マイバッハ」とダブルネームになった。より一層メルセデスとの共有化が進む。
ボディはSクラスの共通であり(ホイールベースは延長されている)、内外のデザインやサスペンションの作り込みなども共通である。グリルやホイールなどの意匠にはマイバッハ独自の個性を盛り込んでいるものの、それはメルセデスSクラスと見紛うほどに酷似している。メルセデスのもっともスポーティなブランドが「メルセデス・AMG」なら、もっとも高級なモデルが「メルセデス・マイバッハ」という位置づけだ。
マイバッハのパーソナル化を悲しむ声も少なくない。明らかな威圧感が伝統だったマイバッハを知る人には、庶民性が気になるに違いない。それも、販売数を確保するためのマーケティング戦略であることはあきらかだ。ごく一部の貴族のためのショーファードリブンとして独自の道を進むには、開発のための負担が大き過ぎるのだ。メルセデスとの共有化を色濃く進めることでブランドを存続させる手法が賢明なのかもしれない。
これからはメルセデス・マイバッハを街で見掛ける機会が増えそうである。
【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】はこちらからどうぞ。YouTubeの「木下隆之channel CARドロイド」も随時更新中です。