【五輪プレスセンター日記】世界を襲った新型コロナウイルス感染症によって東京五輪の姿は大きく変容した。メインプレスセンター(MPC)でも感染拡大を阻止しようとさまざまな対策が実施されている。海外メディアからは対策を支持する意見とともに、「もっとやれることがあるかもしれない」との声もあがる。
MPCでは入場時に体温チェックや手の消毒を行い、共同作業スペースや食事用のテーブルなどには飛沫(ひまつ)防止用のアクリル板が設置されている。マスクの着用は言うまでもない。
大会組織委員会側が使用を求めるアプリをインストールして体温や体調を毎日、報告する。PCR検査も定期的に受けていて、MPC内の検査場で簡単に検体を提出できる。
こうした感染対策について、マレーシアのテレビ関係者は「みんながマスクを着けていることは、ルールに従う姿勢が出ている良い例だ」と評価する。
一方で、真剣なまなざしで記者の質問に答えるオーストラリアのメディア関係者は、「世界中から人が集まる中で全ての感染を防ぐことは難しい。食事の際など距離が近くなってしまう」と警鐘を鳴らす。表情を引き締め「もっとやれることがあるかもしれない」と語る姿が印象的だった。
さらに感染対策への評価を海外メディアに聞いていると、日本社会の特徴を指摘されることになった。
ポーランド大手紙の記者は、入国時の空港で複数の日本人スタッフからそれぞれ異なる紙を受け取ったことを振り返りながら、「官僚的な仕事だね」と一言。丁寧な仕事ぶりを高く評価しつつも、まじめ過ぎて融通の効かない組織の文化を見抜いていた。