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海外選手が絶賛「世界一の餃子」 選手村の食事、新たなレガシーに

 日本勢の快進撃が続いた東京オリンピック。海外選手らの間で話題となったのが、選手村で提供される食事だ。会員制交流サイト(SNS)上で、「おいしい」と絶賛。メニューの監修には前回の1964年東京大会に続き、帝国ホテルのシェフが携わっており、新たなレガシー(遺産)となることが期待されている。(前原彩希)

 「世界一の餃子は選手村にある」

 動画投稿サイト「TikTok」にそう投稿したのは7人制ラグビー米国代表のイローナ・マー選手(24)。カメラに向かって手づかみにした餃子を一口で食べ、おいしそうな表情を浮かべた。

 バレーボール米国代表のエリック・ショージ選手(31)が、かっぱ巻きやカレーなどを口に運び、大きなリアクションを取る動画も話題になった。

 「反響がとてもありがたい」。そう話すのは、メニューアドバイザリー委員会の座長を務めた、帝国ホテル特別料理顧問の田中健一郎さん(70)だ。

 田中さんによると、選手村にはメインダイニングとカジュアルダイニングの2つの食堂を設置。メインダイニングは24時間営業で、700種類以上のメニューを無料で提供している。

 「ワールド」「アジア」など地域ごとにブースを設け、イスラム教徒のための「ハラール」やベジタリアンにも配慮した多様な食事を用意。日本食は「日本人が慣れ親しんでいる料理を」(田中さん)と、うどんや焼き鳥、ラーメンや豚汁などをそろえた。

 田中さんは、選手にとってベストな状態で競技に臨める食環境をつくる▽食の安心・安全▽日本の食の豊かさをアピールする-の3点に重点を置いた。

 そして何よりも味にこだわり、何度も試食やメニュー会議を繰り返し、プロの味覚で選手が力を発揮できる食事を突き詰めた。

 安全性が保証された「農業生産工程管理(GAP)」認証の食材を使うことが条件となっており、田中さんは「日本でも五輪を契機に、認証制度がより確実に広まっていくのでは」と期待を込める。

 2000年シドニー五輪の女子マラソン金メダリスト、高橋尚子さんが五輪やパラ選手たちから集めたアンケートも参考にした。重圧の中で試合に臨む選手たちにとって、食堂は最もくつろげる場だという。そうした場づくりを目指し、「おいしいと言ってもらえるということは、選手たちがリラックスできている証拠だと思う」と話す。

 1964年東京大会では、田中さんの師匠で後に帝国ホテルの総料理長を務めた村上信夫さんが、料理長の一人として参加していた。田中さんは「帝国ホテルにとっては、必然だったのだと思う。食という部分でバトンをつなぐことができ、感無量」とその歴史をかみしめている。

 国内外から注目を集める選手村の食事。田中さんは「(東日本大震災の)復興支援を含め、日本の食の豊かさを世界に発信するいい機会になる」と力説した。

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