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五輪開会・閉会式を専門家が“総合評価” 小技光るも全体的に「説明不足」 (1/2ページ)

 東京五輪の感動的な17日間は幕を閉じた。直前までトラブルが続き、新型コロナウイルスの感染拡大もある中で無事に執り行えたこと自体が喜ばしい。史上初の無観客開催で最も注目を集めたのは開会式と閉会式だが、純粋にショーとして評価した場合、どうだったか。舞台芸術の専門家たちは「飽きさせないスピードも、壮大なスペクタクルも、一貫したストーリーも足りなかった」と口をそろえて辛口になり、「日本のエンターテインメントのレベルはもっと高いのに」と悔しがる。

 長い話はカットせよ

 2つの式典について、「とにかく長かった」と映画・演劇評論家の萩尾瞳さんは話す。開会式は約4時間、閉会式は約2時間半も続いた。必ずプログラムに入れなければならない行進やスピーチ、オリンピック賛歌演奏のほか、少人数での歌やダンス、大道芸など「脈絡のない小さな出し物の連続で、大きなテーマが感じられない。途中で飽きてしまう」。

 特に「苦痛だった」と話すのは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の橋本聖子会長と、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長のスピーチだ。開会式では橋本会長が約7分、バッハ会長が約13分。事前に報道各社に示されていた予定では2人で9分だったが、実際は2人で20分となった。比較して短くなったとはいえ、閉会式も橋本会長が約5分、バッハ会長が約7分。

 「主役である選手たちも退屈していたかも。米国映画界のアカデミー賞授賞式のように音楽でも流して、強制終了すればよかったのに」と振り返る。アカデミー賞などの式典では通常、受賞者のスピーチは1分程度と決められている。壇上で舞い上がってしまい、時間を超過した受賞者には、音楽を流して警告、妨害するのだ。

 スケール感がない

 開会式で上空に地球を描いたドローン群は高評価だった。「技術的に目新しいものではないとはいえ、小さなドローンが集まって作られた地球は壮大。さまざまな人、生命が集まる地球というテーマも分かりやすかった」と話す。前回東京五輪の際に開発されたピクトグラムの紹介と実演も「アイデアが素晴らしい」と称賛する。

 一方で、「全体的にスケールが小さかった」と指摘する。例の一つとして、閉会式で「日曜日の昼下がりの公園というイメージ」で行われた、けん玉などの大道芸やDJプレイなどのパフォーマンス。“ごった煮”と揶揄(やゆ)されていることを挙げ、「大きな空間を巻き込む演出が上手ではない」とため息をつく。

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