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東京ワクチン不足続く 需給ギャップ解消乗り出す

 新型コロナウイルスの感染者が急増している東京都でワクチンの供給不足が続き、接種対象者の5割に満たない自治体が出ている。一方で国や都の大規模接種と、企業や大学の職域接種が進み、居住自治体で接種しない人も増え、見た目ほど不足感がない可能性が高い。都は大規模接種分のワクチンを自治体への追加配分に回すなど需給ギャップの解消に乗り出し、接種の促進を支える意向だ。

 国がスケジュールを示している10月4日の週までのワクチン供給で、約22万4千人分を確保見込みの江戸川区。高齢者を除く64~12歳の接種対象人口約47万8千人の約47%にとどまり、供給不足は当面続くとみられる。実際に予約を取るのは困難な状況で、不満を抱える住民も少なくない。

 23区内では、葛飾区が約30万7千人のうち約13万6千人分(約44%)、練馬区も約51万人のうち約25万1千人分(約49%)と確保見込み量が接種対象者の5割に届かない。江東区では約5万人分が不足する試算で「30代以下、特に職域接種を利用できない10代で不足が著しい」(担当者)。

 一方で、大田区は接種対象者約50万3千人のうち、今年4月時点の希望者を65%の約32万7千人と想定。国の予定通りにワクチンが供給されれば、想定を多少上回ってもまかなえるとみている。台東区や荒川区も対象者の8割分が確保できる見通しだという。

 こうした需給ギャップが生じる背景には、居住自治体以外に接種会場の選択肢が拡大したことにある。自衛隊の大規模接種センターや職業に応じた都の大規模接種会場に加え、民間の職域接種でも約160万人(都民以外も含む)が2回接種を済ませた。ある区の担当者は「区で接種を希望する人の全体像がつかみきれない」と指摘する。

 都は自治体間の不均衡を解消するため、10月上旬までに大規模接種向けに国から受け取る約100万人分のワクチンの中から、約65万人分を市区町村に配分することを決定。「大規模接種の受け付け人数を減らすなど余剰分をひねり出した。スムーズな接種に向けて全体最適を考えて判断した」(担当者)という。

 また、大規模接種や職域接種を受けた住民の実績が自治体側に反映される国の接種記録システムへの入力遅れも混乱の一因とみられ、別の担当者は「市区町村が正確な接種計画を立てるためにも速やかに入力してほしい」と強調した。

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