ヘルスケア

「経営リスクも患者のため」 大阪の新コロナ病院運用で責任者

 大阪市の松井一郎市長は7日、新たに民間病院「阪和住吉総合病院」(同市住吉区)を新型コロナウイルス感染者の専門病院として運用すると発表した。阪和住吉総合病院を運営する医療法人「錦秀会」の感染対策特任委員長、高田実・阪和第二病院副院長(73)が産経新聞のインタビューに応じ、新型コロナウイルスの病床確保に民間病院が協力する意義を強調。「経営リスクはあるが、患者のため民が公を助けるという意識が重要だ」と述べた。

 阪和第二は昨年6月、民間では大阪府内で初のコロナ専門病院となった。軽症・中等症向けの24床でスタートし、40床まで拡大。これまでに計657人を受け入れた(今月5日現在)。

 民間が専門病院に転換する難しさについて、高田氏はコロナ後の病床活用が見通しづらいことや、感染症専門の医師・看護師のマンパワー不足を挙げ、コロナ収束後に再び一般患者の受け皿として機能するかどうか懸念も示した。

 その上で、「民間ベースで(専門病院を)やっていくのは経営者の判断になる。傘下に病院群を持ち、人的リソース(資源)がある大きな組織だからこそ、経営リスクを背負うことができる」と話す。

 住吉総合では、中等症専門の市立十三市民病院(同市淀川区、90床)などでも大きな効果を挙げている「抗体カクテル療法」の実施を想定。発症から7日以内の投与が必要とされているが、感染「第5波」で保健所の業務が逼迫し、早期に対応できないケースも出ている。

 高田氏は「保健所を通さずに治療を優先する仕組みを構築できないか」と提言。住吉総合では、外来患者にも同療法を行う方向で検討しているという。(矢田幸己)

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