試乗スケッチ

レクサス初のPHEV新型「NX」 電動化だけではない驚きの全貌 (2/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 圧倒的な燃費の良さ

 2019年にレクサスは「電動化ヴィジョン」を発表しており、その具体がこの新型レクサスNXである。新たなフェーズに駒を進めたのである。

 あきらかになったボディは現行型のコンセプトを踏襲している。評価の高いパッケージと走り味をそのままに、新時代に相応しく熟成させた印象である。ボディサイズは前後左右わずかに拡大している。全長は4660ミリで現行比で+20ミリ、全幅は1865ミリで+20ミリ、全高は1640ミリで+5ミリ、ホイールベースは2690ミリで+30ミリも拡大した。

 全体的なフォルムは現行型デザインを踏襲しているが、あきらかに存在感が増した印象である。“塊”としての印象がさらに強調されている。先立ってデビューした「レクサスIS」も旧型のフォルムを踏襲していながら、あきらかに力強いスタイルとなって誕生したのと同様、レクサスデザイナーの筆捌きは巧みで、印象を変えずに新鮮味と進化を感じさせる。高度なセンスを感じさせるのだ。

 話題のPHEVは直列4気筒2.5リッターエンジンと組み合わされる。総電力量18.1kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載、フロントとリアにモーターをそれぞれ積む。予想ではおそらく100キロほどのEV走行が可能だろう。もちろんEV走行だけではなく、通常のハイブリッド走行も可能だ。よしんば駆動用バッテリーが空になったとしても、いや、通常走行では耐えず補充しているから空にはならないが、圧倒的な燃費を誇ることだろう。

 世界的な半導体不足や新型コロナウイルス禍によるサプライヤーの生産体制の滞りなど、工場出荷の停滞はやむを得ない。だが一方で、地球温暖化をはじめとした環境への手立ては待ったなしである。プレミアムブランドのレクサスに、PHEVが加わり全方位的なパワーユニットを揃えたことの意義は深い。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】こちらからどうぞ。YouTubeの「木下隆之channel CARドロイド」も随時更新中です。

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