受験指導の現場から

生涯年収、中学・高校入試で最初の決着はついている!? 学力勝負はリスク大! (1/2ページ)

吉田克己
吉田克己

 「学力・学歴と年収とのあいだには(比較的)高い相関がある」ことについて、「そうあるべきではない」と考える人はいても、「それは事実ではない」と現実を否定することは難しいだろう。

 高学歴偏重主義者と誤解をされたくないので念のため付言しておくと、筆者は「日本は適度な実力主義、競争社会でありつつも、生活は一億総中流が理想」と考えている(今さら実現可能かどうかは別の話)。いわば、対外的には国益主義者であっても国内的には社会主義者である。無論、ごく一部のスター選手や名優、名経営者などが1億円プレーヤーであることに異議があるわけではない。

 もちろん、社会人として生きていくためには、相応の教養は必要である。「日本人の9割に英語はいらない」と題する著名人の著書もあるが―筆者も同書の(タイトルではなく)内容には首肯できる―英語は教養ではない。コミュニケーションや情報収集のためのツールである。

 逆に、生活をしていくためには、社会や理科の知識はけっこう役に立つというか、必要となる場面は少なくない。では、算数はどうか? 

日本の算数教育の「帰結」

 筆者は、高校を卒業した生徒を“受け入れている”学校で―あえて“受け入れている”としたのは、基本「全入」だからである―就職試験対策講座の講師も務めているのであるが、つい最近、愕然としたというか、唖然としてしまったことがあった。

 数学(算数)を受け持っていたクラスが複数あり、カリキュラム進行や期末試験の内容は揃えるようにしていたのだが、以下は前期末試験問題の中の1問である。

問題1

ある品物を定価の3割引で3個買い5000円を支払ったら、お釣りが800円だった。この品物の1個の定価はいくらか。

 小6になったばかりでも、塾に通っている生徒であれば、おそらく8割方の生徒は正解できるレベルの問題だろう。ところが、担当していた100名以上の学生のうち、ざっくり、正答は3割、誤答が4割、空欄が3割といった様であった。

 誤答者のほとんどは「1820円」と書いている。「なぜ?」と思いながら問題文の下のスペースに書かれている式を見ると、売価が1個1400円であることには辿り着いているのであるが…、なぜかその後 ÷0.7とせずに×1.3と計算している。検算をしている様子もない(むしろ検算しないということのほうが仕事の進め方という側面では問題が大きいかもしれない)。

 さすがに、「数学は苦手」と言っても、原価・売上・利益、値引き・売価…など、損益が計算できないようでは、就ける職業(職種)は相当に限られてしまいそうだ。

 さらに、算数(数学)が苦手な生徒・学生は、数字に対する勘が鈍い。例えば、以下の問題は同じ前期末試験問題の中の1問である。

問題2

20%の食塩水150g、12%の食塩水250g、7%の食塩水400gをすべて混ぜ合わせると何%の食塩水になるか。

 食塩水の濃さに関する問題には、大きく分けて4通りの解き方があるのだが、最も基本的な解き方であれば、塾に通っていれば小6になったばかりの生徒でも、半数以上は正解できる(だろう)。

 にも関わらず、解答欄に「20」よりも大きい数字を書いてくる学生が1割以上いる(正解者は2~3割)。算数がすべてではないにせよ、中学・高校教育の何かがおかしいと思わざるを得ない。

我が子の適性に合ったフィールドは?

 文部科学省の「学校基本調査」によると、2020年度は「高等教育機関(大学・短期大学、高等専門学校および専門学校)への進学率は83.5%で過去最高となった。そのうち大学・短期大学への進学率は58.6%、大学進学率は54.4%、専門学校進学率は24.0%で、いずれも過去最高」だそうだ。

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