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提供規模などでトップクラスの「フードバンク山梨」 全県規模での支援活動を構築

 国内のフードバンクとして、提供規模などでトップクラスと位置付けられる認定NPO法人「フードバンク山梨」(山梨県南アルプス市)が、全県規模での支援活動充実に向けた取り組みを打ち出した。地域の支援団体と連携する「山梨フードバンク・ネットワーク」構想だ。全国的にフードバンク活動は市町村単位での活動が中心。しかし、新型コロナウイルス禍で、生活困窮の深刻さが強まる中、全県を網羅する体系を全国に先駆け構築する方針だ。

 支援の地域格差生じる

 山梨県内でのフードバンク活動は、フードバンク山梨への集中度合いが大きいのが実情だ。だが、倉庫や配送の人員などを考慮すると、どうしても地元の南アルプス市やその周辺が活動の中心になる。

 米山けい子理事長によると、昨年度は例年の2・1倍の延べ1万世帯を支援したが「コロナによって支援要請が急増したことで(対応できるかどうかの)地域格差ができている」と説明する。

 事実、南アルプス市に隣接する甲府市の住民からの支援依頼に対し、食料が不足していたりスタッフが不足するなどし、支援できなかった事例も出ている。

 一極から多極・分散型へ

 そこで、新たに打ち出すのが「山梨フードバンク・ネットワーク」構想だ。

 これまではフードバンク山梨が支援を求める当事者と直接やり取りして、支援物資を供給してきた。構想では「山梨フードバンクセンター」のもとに、一定数の「地域フードバンク」を設置。子ども食堂や困窮者支援団体などを想定し、地域バンクが当事者対応する仕組みだ。

 センターが調達した物資を地域バンクに分散配置し、それぞれの地域単位で生活困窮者への支援を実施する。いわば一極集中から、多極・分散型ネットワーク体制に変え、小回りの利く組織をつくる。

 地元農家と連携で野菜も

 コロナ禍で「今日、明日の食べ物がない」といった深刻な窮乏者に対しても、地域バンクに備蓄があれば即応可能だ。近くの支援拠点ならば、ガソリン代に困る人も救えるからだ。

 また、支援物資は常温での長期保存食品が基本で、野菜などの生鮮食品はこれまでほとんど扱えなかった。地域バンクが地元の農協や農家と連携できれば、規格外野菜などの提供を受け、新しい形態や物資による支援も可能になる。

 このほど開かれた甲府市、北杜市、韮崎市、都留市、富士河口湖町などの子供支援団体や、子ども食堂、支援企業などが参加した説明会では、今後3年程度でネットワーク体制を作っていく方向が示された。

 月収10万円以下が6割

 取り組みの拡大や強化を急ぐのは、支援を必要とする乳幼児がいる世帯がコロナ禍で極めて厳しい環境にあることが理由だ。

 支援を受けた世帯のアンケート(8月公表)では、ひとり親世帯が69%を占める。世帯の1カ月の収入は「5万円以下」が20%、「6万~10万円」が42%と、10万円以下が約6割に達する。ミルクやおむつが買えない経験がある世帯は29%。養育費を受け取っていない世帯が7割を超えており、これが世帯収入の低さにつながっている。

 サービス産業などで働くシングルマザーも多く、コロナによる休業で経済が停滞する中、仕事や収入源をなくしている実態も浮き彫りになっている。

 フードバンク山梨は、食料支援を継続させれば、限られた収入の中でも浮いたお金を他に使えるようになるとみており、早急に全県をカバーできる体制づくりを目指す。(平尾孝)

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