クルマ三昧

室屋義秀選手とチームパートナーシップ締結 「空」に照準を定めたレクサスの狙い (2/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 カーボンニュートラル社会への道筋の一つ 

 空では機体の軽量化が不可欠で、運動性能を高めるためには軽い方が有利。高回転で唸るエンジンは冷却性能も求められる。つまりレクサスの技術と航空技術には共通項が多い。戦いのステージが地上か空かという違いがあるだけで、クルマとエアレースに求められる能力に違いはないのである。そこがレクサスと室屋選手がチーム契約を締結した理由なのだ。

 実際にレクサスは、室屋選手から空力的なデータを得てクルマの開発に役立てている。一方の室屋選手も、クルマの知見を利用して新たな「技」を開発する。

 レクサス機の操縦桿には、レクサスが人間工学的な知見により開発した「操縦桿グリップ」が装着されており、より正確で素早い操作を後押ししている。空力的解析による新技「新ターン」を完成させたのはそれがあったからだ。というように、陸上のクルマと空のエアレースは技術的に親和性が高い。

 これらは、世界的な風潮であるカーボンニュートラル社会の実現への道筋の一つでもある。エアレースばかりではなく、次世代モビリティに繋がる人材育成にも取り組むという。地上のモータースポーツを制したレクサスが、次なるプロジェクトとして空に目を向けたことが興味深い。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】こちらからどうぞ。YouTubeの「木下隆之channel CARドロイド」も随時更新中です。

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