■マイナンバーカードに対するインセンティブについて
今回、公明党案ではマイナカードにポイントを付与するというアイデアが盛り込まれています。この点に関して筆者は評価しています。
というのも、マイナカードは国策として全国民に保有させるべきものです。一方で、明確なメリットがないため保有数が伸びません。公務員は職場で保有するよう圧力がかかっていると聞きますが、民間企業に努めている人やフリーランス、主婦、学生については取得する必要性を感じていないでしょう。
今後、給付金に限らず所得控除や税額控除などのわかりやすい特典を付与すればマイナカードの普及は進むはずです。むしろ、マイナカードをあえて持たない選択肢は不利になる状況を構築する必要があるでしょう。
マイナカードが浸透し、例えば納税情報と連携できるようになれば、一律の給付金でなく、一定年齢以下への給付金でもなく、収入が下がった人だけを対象とした給付金支給など、納得感のある給付金政策がとれます。
今のままでは、いつまでたっても一律がいいとか、子育て世帯に支給しろとか、状況の把握できている生活困窮世帯に限定しろ、といった話になるのです。必要な人に必要なお金を届けるために、マイナカードを切り札として使うことに異論のある人は少ないでしょう。
■心配なことは親が子供の給付金を食いつぶすこと
2020年の一律給付金は、申請者がまとめて一家の給付金を受け取ったのではないでしょうか。我が家も私が代表して給付金を受け取りました。18歳以下を対象とした給付金が支給される場合、最も心配なことは子供のために使われないことです。
子役芸能人やスポーツ選手の親が、子供の稼ぎを使っていたという噂はよく聞くところです。似たようなことが今回も起こりうるでしょう。子供のための給付金を受け取って、親が散財、ギャンブルに使ったりする可能性はそれなりにありそうです。
対策として考えるならば、現金ではなく給付金自体をマイナポイントとして支給すること。ただし、マイナポイントだと、子供がマイナポイントを受け取るための口座がない方が多そうです。となれば、親の口座にマイナポイントが貯まります。
受取人本人にしか使えないポイントでは、乳幼児、園児、児童などは実質ポイントが使えませんから、死蔵資金になりそうです。
今後は、子供に直接お金が渡るようにするのとともに、親の浪費や消費に使われないような工夫を設ける必要がありそうです。
■スムーズな給付が実現できるかを注視
もし、給付金の支給が決定したら、どれくらいの期間で給付金が受け取れるか見定めましょう。前回の給付金と同様に、書面の手続きに終始したり、マイナカードの発行に時間を取られてないでしょうか。もし、手続きが遅々として進まなければ、それは行政側の油断と怠慢です。安定した身分と収入を確保されている公務員が、いかに自分ごととして給付金支給の流れにかかるか、国民の目が光っています。
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