COP21きょう開幕 仏厳戒、警備1万人超増員
安倍晋三首相は29日、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)首脳会合に出席するため、パリに向け、羽田空港を政府専用機で出発した。首相は首脳会合の演説で「革新的技術」の開発を強化し、温室効果ガスの抜本的な排出削減に貢献する方針を表明する見通し。パリ滞在中にオランド仏大統領と会談し、「テロとの戦い」への強い連携も確認する。
首相は出発前、羽田空港で記者団に対し「COP21では人類のために世界の国々が参加する新しい枠組みを作るため大いに貢献したい。テロに決して屈しない連帯を各国とともに示したい」と決意を語った。
COP21が開幕する30日、パリ郊外の会場は、世界各国の首脳約150人が一堂に会する場となる。130人が犠牲となったパリの同時多発テロから半月あまりしかたっておらず、国際社会が「テロに屈しない」という姿勢を発信する重要な機会となる。現地は安全確保のため厳戒態勢が敷かれ、緊張に包まれている。
パリ郊外ルブルジェの地方空港に接した一角。約18万平方メートルの広大な敷地がCOP21の会場だ。会議室のほか飲食店、宿泊設備などを備え、施設はまるで即席の街のようだ。しかし、内部には警察車両が配置され、警官が周囲に目を光らせていた。
敷地を囲む高さ3メートルの柵の外側でも、警官が馬に乗るなどして巡回。随所に小銃を抱えた警官が立つ。「ここは撮影するな」。カメラを向けるたびにそう制止していた。
フランス政府は同時テロ後、全土に警官と兵士計約12万人を動員。今回の会議のため、さらに警官と憲兵隊2800人、国境周辺に8000人を配置した。欧州諸国間で廃止された入国審査も復活しており、28日までに入国を拒否された者は1000人近くに上るという。
イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」はさらなるテロを呼びかけ、政府は化学・細菌兵器の使用も警戒している。各国首脳はこうした状況下の会議で「自由の尊重と過激思想と戦う意志」(オランド仏大統領)を示す狙いだ。「延期を求める首脳はいなかった」(バルス仏首相)という。
会場は実行犯3人が自爆テロを実行した競技場があるサンドニにもほど近い。近くに住む住民は「テロに屈服しないことを示すためにも(会議の開催は)重要だ」と語った。(パリ 宮下日出男/SANKEI EXPRESS)
≪「停滞期転換」 世界の気温急上昇≫
世界の平均気温が今年5月以降、記録的な勢いで上昇し続け、気候変動が上昇傾向に移った可能性があり、気象庁が研究に着手したことが29日、気象庁への取材で分かった。気温上昇は2000年ごろから「停滞期」だったが、イギリスの気象庁は「大きな変化が起こった可能性がある」との見解を示しており、日本でも研究の必要性が生じた。30日からパリで開幕するCOP21では、急激な気温変化にいかに対応するかも焦点になる。
毎月連続で過去最高
日本の気象庁によると、今年5月の世界平均気温は、1981~2010年までの平均基準からプラス0.38度となり、統計を開始した1890年以降で5月の過去最高を記録。その後、10月のプラス0.53度まで毎月連続で、その月の過去最高を記録し続けているという。2014年の年間平均気温もプラス0.27度で史上最高だった。
世界的な気温上昇の背景には、太平洋東部海域で海面水温が上昇する「エルニーニョ現象」があるとみられる。現在発生しているのは1997~98年以来となる過去最大級の規模で、気象庁は「太平洋とインド洋の広範囲で海面水温が高く、陸地に熱が移って気温が上がった」と説明する。
気温の変動は長期的に上昇傾向と下降傾向の時期がある。最近では2000年ごろから上昇傾向が鈍くなっていたが、地球規模で深海部分に熱が移ったことで気温が上昇しにくくなり、「停滞期」に入ったと研究機関などが分析していた。
気象庁は断定に慎重
しかし、近年の激しい気温上昇についてイギリスの気象庁は今年9月、「太平洋で起こる10年規模の水温変動が進行し、気候変動が(停滞期から)大きく変化した可能性がある」との報告書を発表した。日本の気象庁は「現段階で断定するのは難しい」と慎重姿勢を示しているが、気温上昇のピークはエルニーニョ現象のピークより数カ月遅れる傾向があることから、来年にかけて平均気温の高い状態が続くと予想する。
温暖化を担当する気象庁気候情報課の石原幸司調査官は「温暖化で全体的に気温が上昇しており、その中で特に高い数値が出ていることは事実だ」と話す。
世界の気温が上昇すると夏の猛暑が深刻化し、南極の氷が溶けて海水面が上昇するほか、大気中の水蒸気量が増えて大雨や突風などの極端な気象現象が起こりやすくなるといわれる。(SANKEI EXPRESS)
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