サッカー観戦はどうしてここまで人を熱くするのだろう。学生時代に滞在していたドイツは、ワールドカップ期間中、まさに国を挙げて熱中していた。ちょうど、日韓ワールドカップの年をドイツで過ごしたが、自国の試合があると、学生たちは講義を休んだ。あまりサッカーに興味がなかった私に「君にとって重要な試合だろう」と、講義を休むことを勧める友人もいた。
ドイツ戦があるときは、バスのなかでも、ラジオを流して試合を聞いていた。相手が点を決めると、運転手はハンドルを殴りつけ、悔しがる。危うく前の車に追突しそうになるほどだった。得したこともある。日本がトルコに負けた日、街にあったトルコ料理屋に行ってみると「きょうはありがとう」と紅茶をサービスしてくれたのだ。ふだん話をしない人とも、その日あった試合を話題にすれば、会話が弾んだ。サッカーは最高のコミュニケーションツールだった。
オフサイドも知らなかった私だが、サッカーを愛する人々の洗礼を受け、いまでは観戦を楽しめるところまで成長した。来年はどんなドラマが待っているのだろう。また、どんなファンに会えるだろう。いまから楽しみで仕方がない。(佐々木詩/SANKEI EXPRESS)