さて、冒頭のがん患者さんをビフィズス菌で治療するという記事ですが、この嫌気性菌の性質に関係があります。がんの組織は増殖が早く、酸素を運ぶ血管も正常のものではないため、嫌気性の環境になっています。谷口俊一郎教授(信州大学分子腫瘍学)は20年以上前に、マウスに嫌気性菌であるビフィズス菌を注射すると、腫瘍にビフィズス菌が集まり増殖するということを発見しました。そして、もしヒトの腫瘍内でもビフィズス菌が集まり増殖できれば、がんの治療につながると期待されました。ところが、生きた菌を血液中に投与する行為は、医学会から猛反対を受けました。けれども前回のコラムにお書きした「菌血症」がイコール「敗血症」ではないことを見ぬいていた彼らは、この逆風に負けませんでした。
(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔