世論は軍事行動に反発
今後、化学兵器の国際管理が進めば、オバマ政権は化学兵器の使用で約1400人の犠牲者を出したアサド政権に一定の制裁を加えることになる。またイランや北朝鮮、国際テロ組織アルカーイダなどに対しても化学兵器使用には代償が伴うことを示すことになり、化学兵器使用の抑制につながる対応をとれたともいえる。オバマ氏にとっては思惑通りの結果だ。
一方、オバマ氏が限定的な軍事行動のために議会の承認を求めるという手続きをとったことで米国内の軍事行動への反発が表面化したことは、オバマ氏にとっては想定外の結果だった。
オバマ氏は化学兵器使用で多数の子供が死亡したことや、化学兵器が自動車爆弾のようにテロリストが通常の攻撃手段として使う武器となる可能性を訴え、国内世論に軍事行動の正当性を訴えた。しかしオバマ氏が満を持して(9月)10日に行ったテレビ演説も世論の軍事行動への反発を和らげることはできず、米メディアでも「議会が軍事行動を承認しないことはほぼ確実」との論調が浸透した。このため仮に米露外相会談が決裂していれば、オバマ氏は議会承認なしの軍事行動という難しい決断を迫られて立ち往生した可能性もある。