態度が尊大と批判されることも多いサマーズ氏だが、「ハーバードの俊才」といわれたその明晰(めいせき)な頭脳と識見は世界に鳴り響く。日本の政府関係者は「サマーズ氏が会合に姿を見せるだけで、人だかりができる」とその強いオーラに驚く。
財務省で同僚だったカリフォルニア大バークレー校のブラッド・デロング教授(53)は「問題が起きた際、既成概念にとらわれない彼の強みが生きる」と、FRB議長でも強いリーダーシップを発揮すると期待していた。
しかし、政治に翻弄され続けた結果、サマーズ氏の夢は霧散した。バーナンキ議長は「FRBは独立した組織」として議長人事への政治的影響を否定するが、サマーズ氏をめぐる軋轢(あつれき)がワシントンに禍根を残す結果となったのは間違いなさそうだ。(ワシントン支局 柿内公輔(かきうち・こうすけ)/SANKEI EXPRESS)