「口立てという、その場でセリフを伝える稽古では、瞬発力や記憶力、柔軟性が鍛えられました。毎日が刺激的で、ぜんぜん飽きがきませんでした」。その厳しさも「厳しいというか、愛なんです」。芝居への愛であり役者への愛。それがあるから「くじけないで食らい付いていけました。あそこで得た時間は、どんな時間よりも濃かったです。それを思い出して生かす作業が、これからの仕事でも必要だと感じています」。
来年公開の映画「MONSTER」(仮)、「幕末高校生」など出演作はめじろ押し。そうして経験を積み重ねていった先にたどりつきたい境地として、「わたしのグランパ」で共演した菅原文太さんを挙げる。「ただ座って、畳の上で一点を見ているシーンがあるんですけど、それだけで何かが伝わってくるんです。その人がいるだけで空気が変わる。その人が来たら明るくなったり緊張したり、やる気が出たりする。そういう人になりたいかな」