フィリピンの国家災害対策本部は10日、タクロバンなどで死者が少なくとも151人に上ったと発表。フィリピン赤十字は死者を1000人以上と推定しているが、いずれも実態を反映していない可能性が高い。地元警察幹部のエルマー・ソリア氏は10日、ロイター通信に「集計ができていないだけで、被害はその程度ではない。昨夜、レイテ州の知事と話し合ったが、われわれの見立てでは死者は1万人を超す」と語った。
津波のような高潮
タクロバンの空港でマニラへ向かう軍用機を待っていた女性はAP通信に「空港までの道には優に100人以上の遺体があった」と証言。また、住民の一人はロイター通信に「人々は食べ物を探して、まるでゾンビのようにさまよっている。こんな悲惨な災害現場を見たことはなく、まるで映画のようだ」と話した。
台風30号は今年発生した台風の中では最大規模のものだったが、被害がここまで拡大したのは、まるで津波のような高潮が発生したことによる。商用でタクロバンのホテルに滞在していた中国人女性はロイター通信に「高潮はホテルの2階部分まですっぽりとのみ込んだ。この世の終わりかと思った」と語り、ヘリコプターで上空から視察した内務省高官は「沿岸部の低層住宅は壊滅した。恐ろしすぎて見たことを描写できない」と声を落とした。