当時、インドがスリランカに残した足跡に、87年のスリランカ憲法修正がある。中央政府から地方州政府への権限委譲を憲法に盛り込ませたのだ。
スリランカでは今年9月、タミル人が人口の9割以上を占める北部州で州設立後初の地方議会選が行われ、かつてLTTEの武力闘争路線を支持したタミル人政党が勝利した。しかし、ラジャパクサ政権はタミル人州政府への権限委譲を渋っており、シン政権内でも首脳会議への欠席を求める意見が出ていたという。
また、国民会議派総裁だったラジブ・ガンジー元首相(1944~91年)は、スリランカ介入の報復としてLTTEの女性自爆犯に暗殺されている。現在の会議派総裁はラジブ氏の妻のソニア・ガンジー氏(66)、副総裁は息子のラフル・ガンジー氏(43)だ。2人の脳裏には、スリランカ情勢に深入りしたために招いた当時の悪夢が染みついているはずだ。北部州政府は今回、シン首相にスリランカ訪問に併せて北部州入りも要請していたが、こうした積極外交に否定的な意見が出たとしても不思議ではない。