劇団四季のミュージカル「キャッツ」が上演された都市(各地での初演の年)【拡大】
3カ月分のチケットは約10万枚。プレイガイドで販売する従来の手法では、売れ残るリスクが高い。コンピューターを使ったシステムの開発を進めていたチケット販売の「ぴあ」と手を組んだ。
チケット購入の機会が全国平等になったことで「早く買わないと、いい席が取れない」と競争が激化し、3カ月分は開幕前に完売。1年間のロングラン公演が成功した。
客席と一体化
「文化の東京一極集中打破」という理念を掲げる四季は、大阪や仙台、広島など地方都市でも上演。仮設劇場やロングラン公演を各地で実現した。「日本人にも親しみやすいネコの物語と、出演者が客席を歩くなどして劇場が一体化するような演出が、幅広い人々の心をとらえたのでは」と劇団関係者。リピーターも増え、観劇したファンから「うちの地元でもやってほしい」との声が上がるという。
慶応大の石倉洋子教授(経営戦略)は「当時の演劇は、大衆には理解されなくていいという考えが強かった」と指摘。「四季は、多くの人に見てもらい、再訪してもらわないとビジネスは成立しないという発想に基づいていた。現在、その考えは演劇界に浸透しているのではないでしょうか」(SANKEI EXPRESS)