ここは多摩川中流域。自然豊かな光景だが、1974(昭和49)年8月末の深夜から大雨が降った。そのころ小生は田舎の学生だったが所用で上京、隣の調布市に泊まっていて、未明にパトカーがサイレンを鳴らして走っていったのを覚えている。多摩川水害の始まりだ。その後3日間で堤防260メートルが決壊、対岸の東京都狛江市の住宅19棟が流される被害がでた。まさにその現場なのだ。
その水害は、77年放送の被害家族をモデルとし名作といわれたテレビドラマ「岸辺のアルバム」の題名とともに、40年近くが過ぎた今も人々の記憶に残っている。(野村成次、写真も/SANKEI EXPRESS)
■のむら・せいじ 1951(昭和26)年生まれ。産経新聞東京、大阪の写真部長、臨海支局長を経て写真報道局。休日はカメラを持って、奥多摩などの多摩川水系を散策している。