オペラ「夕鶴」の記者会見に出席した右から現田茂夫、森英恵、佐藤しのぶ、市川右近、千住博、成瀬一裕=2013年10月10日(江原和雄撮影)【拡大】
しかし、昨年は團の十三回忌。また、東日本大震災を経験したことも、今回の「夕鶴」上演の背中を押した。
「東日本大震災で故郷を失った方もたくさんいます。2年半たっても復興していません。そして、世代を超えて歌う日本の歌がなくなってきていることも気がかりでした。『夕鶴』は、すべてを失ってから本当の幸せとは何か、を気付かされるお話です。團先生の深い思いがあって、書かれています」
革新続け新たな伝統を
「夕鶴」は、木下順二の戯曲を台本に1952年に初演された。わなにかかっていた鶴を助けた与ひょう。「女房にしてくれ」とつうが訪ねてくる。夫婦となるが、つうは「織物をしているときは部屋を覗(のぞ)かないでくれ」と頼む。日本人なら誰でも知っている民話だ。
「与ひょうは無欲無心に鶴を助けます。動物や子供とコミュニケーションができる、素晴らしい能力の持ち主なのです。お金という概念を持っていない人です。与ひょうはお金があれば都に行ける、ただつうと一緒に都に行きたい、つうを喜ばせたい、と思っただけなのです。つうも、与ひょうを喜ばせたいために都の話をし、布を織ってあげた。与ひょうとつうのボタンの掛け違いが悲劇になっていきます」