「ジェシーの場合、聞いてほしい話があったり、語らずにはいられない何かがあったんだ。それは米国文化からくるものかもしれないですよね」。リンクレーター監督はその意図を説明した。小津安二郎監督(1903~63年)の作品に抱く日本人像にも言及し、「沈黙という形でもコミュニケーションを取ることができるのは理想的だろう。幸せな気持ちでいられるのならば話す必要はないのだから」と指摘した。
人生はその先も続く
日本には「熟年離婚」という言葉があり、実際、パートナーの双方が新たな生き方を模索するケースが見てとれる。リンクレーター監督は米国でも事情は同じだといい、子育てを終えて第二の人生のあり方をうっすらと考え始めた40~60代の夫婦の絆は、一見堅固に見えるが、実は意外ともろい場合があると警鐘を鳴らす。「人生はその先も長く続くのだから、40~60代の夫婦が『これは私が望んでいた人生だったのだろうか?』と振り返るのは仕方がないこと。もし幸せでなければ人は何かを探し求めるでしょう。それぞれのやり方で微妙な時期と折り合いをつけるしかない。自分自身がどんな人間かがまさに問われているのですからね」