轟は雪組時代の1994年にバトラーを演じ、2002年に再演した際には菊田一夫演劇賞も受賞した。いわば代表作だ。今回の上演では榛名が演技指導でスタッフに名を連ねている。
男役の様式美は、先輩から脈々と伝えられ、だからこそ戦争など時代の波にも途絶えることなく、100年の歴史を刻んできた。一方で、昨年は人気ゲーム「戦国BASARA」を舞台化するなど、革新的な試みにも貪欲だ。伝統と革新の両輪は、400年の歴史を持つ歌舞伎にも通じる。
轟は歌劇団理事も兼ね、春日野八千代(1915~2012年)亡き後は、宝塚を代表する立場にある。以前、轟に100周年に向けた心境を聞いたところ「先輩たちに感謝しながら、恥ずかしくない舞台をするだけ」と多くを語らなかった。今、舞台で見せている男役こそが轟の答えだった。先人たちが100年かけて磨き上げた結晶のような男役を観客と後輩に示している。(飯塚友子/SANKEI EXPRESS)