日露交渉においては、交渉が比較的順調に進んでいるときは、日本外務省は情報を秘匿する傾向が強まる。交渉が不調の場合、その責任を相手側に帰する必要があるので、双方がリークを行う。
今回、日本側の交渉責任者である杉山審議官が「全般的に極めて率直で真剣な議論を行った。長年にわたって行われてきた交渉であり、1回の交渉で隔たりがなくなったということはできない」(1月31日NHKニュース)と述べていることから、筆者は双方が論点を整理し、首脳間の政治決断に向けた準備が進んでいると推定している。
2月8日にはソチで、安倍晋三首相とプーチン露大統領の首脳会談が行われる。その前日7日のソチ冬季五輪開会式にあわせて、森喜朗元首相とプーチン大統領との会談も行われる。2度のプーチン大統領との接触を通じ、北方領土交渉をめぐるプーチン大統領と露外務省の「温度差」を探ることが、今後の安倍政権の対露外交戦略を構築する上での焦眉の課題となる。
「脱日本化」シナリオ
問題は、その後のシナリオだ。原田親仁(ちかひと)駐露大使を中心に、一見強硬論のように見えるが、実質的に北方四島を放棄するトリック的提案が首相官邸に上げられることを筆者は懸念している。このトリックは、以下の構成になるだろう。