にわかには信じがたい事件だが、実際に起きた出来事だ。鉄道警察官たちの狼藉(ろうぜき)ぶりに堪忍袋の緒が切れた市民たちは全米で抗議集会を開き、事件は波紋を呼んだ。現在も駅の周辺地域に住んでいるクーグラー監督は「鉄道警察官が故意にオスカーを撃ったのかについて個人的な見解を持っていないが、嫌でも関心を持たざるを得ない話」といい、映画化に動いた。
それにしても本作が描くように、米国の白人警察官はこれほどまでに黒人住民に対して威圧的なものなのか? クーグラー監督は「もちろん警察官によって威圧のレベルが違いますが、彼らの行動基準は軍隊と変わりませんよ」と即答した。オスカーたちが黒人だから鉄道警察官から理不尽な扱いを受けたかどうかについては「僕は白人ではないから分かりません。ただ、映画で描いた状況が目の前で展開されれば、白人警察官の取る態度は映画と同様になるケースが多いと思います」と指摘した。
無念を観客に体験
なぜドキュメンタリーの手法で描かなかったのかも気になるところだ。「ドキュメンタリーでは、オスカーと一緒に多くの時間を過ごせないと思いました。実際、彼の写真も多くは残っていなかったし、彼が映ったビデオも自宅周辺で撮影されたものだけしかありませんでした。