世界的ブレーク予感
一方、かなりマッチョなイメージの強いヒップホップ界でも、ラテン女子は大活躍している。なかでも昨今話題なのが、チリ出身のアナ・ティジュだ。チリは軍事政権やクーデターなど、政情不安の時期が長かった国だけに、ポリティカルなメッセージのロックやラップが盛ん。活動家の両親がフランスに亡命していたということも影響してか、彼女も非常にメッセージ性の強い音楽を作り続けている。南米大陸ならではのフォルクローレサウンドをベースに、アグレッシブなライムを繰り出すスタイルはなかなか刺激的。最新作の「ベンゴ」は、長らく虐げられてきた先住民のマプーチェ族やメキシコの革命戦士などをアイコンにしたブックレットも美しく、音と言葉、そしてビジュアルも含めたトータルアートとしてもレベルが高い。グラミー賞にノミネートされたり、レディオヘッドのトム・ヨークが絶賛するなど、世界的なブレークを予感させる期待のアーティストだ。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS)