米プロバスケットボール、NBAのロサンゼルス・クリッパーズのオーナー、ドナルド・スターリング氏(80)が悪意に満ちた人種差別発言をしたことが分かり、激怒したクリッパーズの選手たちが27日、ウオーミングアップシャツを裏返しに着てロゴを隠し、試合中は全員、黒のリストバンドを着用するといった無言の抗議活動に出た。アジア歴訪中のバラク・オバマ大統領(52)も「無知で極めて攻撃的な差別発言」と非難したが、米国社会に刻み込まれた人種差別の根深さを改めてさらけ出すことになった。
■「黒人を連れてくるな」
この日、敵地であるゴールデンステート・ウォリアーズの本拠地カリフォルニア州北部オークランドで行われた試合。クリッパーズの選手たちは、試合開始に先立ち、赤いウオーミングアップシャツの上衣を裏返しに着用してロゴを隠し、異様な姿で米国国歌に聞き入った。
クリッパーズのドック・リバース・ヘッドコーチ(52)はAP通信に「選手たちの計画は知っていたが、自分の意見は封印した。プレーをすることこそが、われわれのメッセージだ」と説明。その言葉通り、試合は普段と同じように進められ、いつまでも人種差別がなくならない現実に対し、選手たちはあえて言葉で反発することを避けた。その代わり、選手たちは左手首に黒のリストバンドを着用してコートに立ち、プレーと同時に無言の抗議を続けた。試合はクリッパーズが97-118で負けた。
AP通信や米CNNテレビなどによると、事件の発端は、25日付米芸能サイトTMZが暴露したスターリング氏と恋人のV・スティビアーノさんとの会話内容だった。スターリング氏は、スティビアーノさんがNBAの元黒人スター選手、マジック・ジョンソン氏(54)と一緒に納まる写真を画像共有サイトに投稿したことから、「黒人と一緒の写真を公開するなんて、ひどく不愉快だ」「イスラエルに行ってみろ。黒人は犬扱いだぞ」などと激怒。彼女が反論すると、「それなら私のチームの試合に来るな。そして黒人を連れてくるな」と言い放った。
■永久追放の可能性
TMZが4月9日に録音されたとされるこの会話を収めた約15分のテープを公開したところ、全米が大騒ぎになった。ジョンソン氏は27日、米スポーツ中継専門局に「スポーツはあらゆる人種が競い合うからすばらしいんだ。もはや彼(スターリング氏)にチームを保有する資格はない」と強く非難。さらに「黒人も(不動産王で有名な)あんたの不動産を借り、あんたのチームでプレーし、あんたのためにコーチを務めている。俺はホントに怒っている」と訴えた。
NBAは26日から事実関係を調べているが、スティビアーノさんの弁護士は27日、2人の会話だと認めており、スターリング氏は業界から永久追放される可能性も出ている。
一方、クリッパーズのアンディー・ローザー社長は26日、CNNなどに、スティビアーノさんがスターリング家から約180万ドル(約1億8400万円)を着服し、訴訟を起こされていると説明。そのため、テープの公開は「スティビアーノさんの報復ではないか」との見方も出ている。
今回の一件について黒人初の米大統領であるオバマ氏は27日、訪問先のマレーシアでこう嘆いた。「無知な人間は自らの無知を宣伝したがる。米国はいまだに人種差別や奴隷制度の名残と闘っているのだ」