宝塚ファンの常連客と語らう元タカラジェンヌの関弘子さん(左)=2014年6月6日、東京都中央区銀座(共同)【拡大】
元タカラジェンヌが切り盛りする東京・銀座のバー「小ぶね」が6月10日、開業から50年を迎える。初対面の客同士でも宝塚の話題を通じて仲良くなれる気さくな雰囲気が魅力で、常連客は「今年100年を迎えた歌劇団のように、ずっと続いてほしい」と話す。
カウンターに立つのは40期生で男役として活躍した関弘子(せき・ひろこ)さん(78)。20代で宝塚歌劇団を退団した後、東京五輪のあった1964年に銀座に開業。2度移転して、今の場所に落ち着いた。店の名前は現役時代の芸名「天乃小舟」から付けた。
開業当初は男性客が多かったが、元ジェンヌの経歴が広まると、宝塚ファンが集うように。店によく来るという東京都世田谷区の主婦、島田知子さん(68)は「この店にいると、初めて会う人とも世代を超えて楽しい話ができる」と魅力を話す。
カウンターに8席だけの店は、夜はバーだが、お昼どきも会社員や観劇前の宝塚ファンでにぎわう。看板メニューは800円のハヤシライス。小麦粉をじっくりと炒めたルーを使い、タマネギと牛肉がたっぷり入る。
歩いて5分の東京宝塚劇場へ差し入れの注文が入ることもあり、現役タカラジェンヌからも人気の一品だという。
「気が付いたら50年たっていた」と振り返る関さん。「宝塚のファンもそうでない人も、いろんな人に会えるのが楽しい」と、今日も笑顔で客の話に耳を傾ける。(SANKEI EXPRESS)