六本木ヒルズumuでのアート展「つながる。それから?」で展示された作品を前にポーズをとる塗敦子(ぬり・あつこ)さん(左)と一般社団法人「Get_in_touch」理事長の東ちづるさん=2014年5月10日、東京都港区(山下元気さん撮影)【拡大】
即興の東京タワー
作品は、6月に六本木ヒルズumuで開催したアート展『つながる。それから?』でも、たくさんの人の心を和ませ、笑顔にした。
そしてサプライズもあった。塗さん家族がはるばる仙台市から会場にやってきてくれたのだ。彼女は、自分の作品に囲まれて「うれしい!うれしい!」と拍手。一緒に写真を撮った後、即興で東京タワーを描いてくれた。
このことを知ったこぶしの職員さんは今でも驚いている。
いつも彼女はモノクロ写真を手本に絵を描く。カラー写真も必ずモノクロでコピーする。けれどもこの日は特別だった。その場にあったカラー写真を見ながら、いつもとは違う、しかも不特定多数の人がいるザワザワした場所で、「フフン~」と鼻歌交じりに、伸び伸びとした線を重ね、迷うことなく色を編むように載せていく。絵を描く彼女があまりに楽しそうで、会場にいた子供たちも、私たちスタッフも一緒に描いた。ふんわりとした空気が漂い、とても穏やかな時間だった。そして彼女はいつものように「できたー!」とかわいい声をあげ、ニカッと笑った。拍手が自然と起きた。