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「シンデレラ」の夢 3日で幕/モデル抜擢サポーター 狩猟写真でクビ

2014.7.13 00:12

 13日(日本時間14日)の決勝戦を残すのみとなったサッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会。大会ではさまざまなドラマが生まれたが、人生を左右されたのはサッカー選手たちだけではなく、ピッチの外では17歳の普通の女の子の人生もジェットコースターのように乱高下させられた。ベルギー出身のこの少女は、現地でベルギー代表を応援していた姿を激写され、写真が新聞やネットを通じて世界中に拡散。「最も美しいサポーター」と評判になり、世界最大の化粧品会社、仏ロレアルのモデルに抜擢(ばってき)されたが、過去の写真が問題となり、わずか3日で契約を“解除”されてしまったのだ。

 ■「最も美しい」大評判

 少女の名はアクセル・デスピエジェレールさん。6月22日、リオデジャネイロで行われたベルギー-ロシア戦(1-0でベルギー勝利)をスタンドから観戦し、国旗色のシャツを着てベルギー代表の愛称「赤い悪魔」にちなんで小さな角と矢印の黒い尻尾を付けたかわいらしい姿で代表に声援を送った。この姿が応援席を映した写真に偶然映り、ツイッターなどを中心に拡散すると「かわいすぎる」などと絶賛され、ブラジルの新聞にも取り上げられた。

 その後、帰国したアクセルさんはフェイスブックにファンページを作ると、2週間で20万以上の「いいね!」がつくほどの人気を集めるまでになった。

 この人気に目をつけたのがロレアルで、すかさずアクセルさんにモデルの契約をオファー。8日には契約に至り、アクセルさんもフェイスブックで「決心しました。ロレアルとの契約にサインしました」と発表した。翌日にはベルギーでヘアケア商品のプロモーションビデオの撮影が行われた。ここまでは、まさにシンデレラストーリーそのものだった。

 ■強い動物愛護精神

 しかし、思わぬ所に落とし穴があった。アクセルさんは、決勝トーナメント1回戦のベルギー-米国戦(2-1でベルギー勝利)が行われた1日、フェイスブックに自身が昨年、アフリカで狩猟ツアーに参加した際の写真を掲載。写真は、死んで横たわるオリックス(大羊)の脇に猟銃を持ったサングラス姿のアクセルさんが座っているというもので、「狩猟とは生きるか死ぬかだけの問題ではないの。もっと重要な何かがあるわ。これは1年前の写真。米国人を狩りに行く準備ができたわ」とのコメントが添えられていた。

 この写真とコメントはネット上で問題視され、アクセルさんは「軽いジョークのつもりだったの。だれかを傷つけるつもりなんてなかったわ」と釈明したが、後の祭りだった。

 ロレアルはこの一件は承知の上で契約したのだったが、抗議が殺到。フランスでは動物愛護の精神が強く、ロレアル自身、製品の安全性を確かめるのに動物実験を一切行わないと宣言するなど、動物を愛する企業として支持されてきた経緯があるからだった。英紙デイリー・テレグラフによると、ロレアルは11日、「契約は終了した」と通告。あくまで解除ではないとしているが、抗議を受けての処置だったことは明白だ。ベルギーの現地法人の責任者は英紙インディペンデントに「これは人に強要するものではないが、私たちは世界中どこであろうと決して動物実験は行わないということだ」とコメントした。

 17歳の少女の夢はW杯を舞台にネットで花開き、ネットで閉じられてしまった。

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